第511章 年上の方が、人を大切にできる(3)

北村邸。

北村忠は冬木心を連れて現れ、瞬時にホールにいる他の人々の注目を集めた。

広橋香織はその時、虎と楽しく遊んでいた。

今や彼女は大きなお腹で、普段より二回りも太っており、歩くのも大変そうだったが、虎と遊ぶ時は元気いっぱいだった。

ホールに異様な雰囲気を感じ、振り向いた。

北村忠を見た瞬間、怒りで胸が詰まりそうになった。

冬木心を見た瞬間、気が遠くなりそうになった。

今、華と再会しているところなのに、気が利かないのか。

北村忠が冬木心を連れてくるなんて、誰の目にも障るわ。

北村忠はその時、母親の視線を感じ取り、次の瞬間には冬木心の手を引いて逃げ出そうとした。

しかし、冬木心は意外にも落ち着いた様子で北村忠の手を引き、中に入っていった。

広橋香織は冬木心を見つめた。