部屋の中。
斎藤咲子は青木晴人をじっと見つめていた。
青木晴人は耐え切れなくなったようだった。
彼は斎藤咲子に近づいた。
斎藤咲子は彼を制止した。「近づかないで!」
青木晴人は眉を上げ、まったく動じなかった。
「私は自分で何をすべきか分かっています」斎藤咲子は大声で言った。
青木晴人は斎藤咲子を見つめた。
「その通りだ。お前は昔から村上紀文に弄ばれていたんだから、今さら取り繕う必要もないだろう」
「お前は鈴木知得留より賢いな。自分にとって何が一番いいのか分かっている。鈴木知得留という女は目が節穴で、冬木空を選ぶなんて!まあいい、今は鈴木知得留に何の感情もない。これからお前と一緒になれば、私の全てをお前に捧げよう」
斎藤咲子は警戒心を持って青木晴人を見つめた。
冬木空は確かにこの陰険な小人の青木晴人より百倍も優れている。