部屋の中。
斎藤咲子は青木晴人をじっと見つめていた。
青木晴人は耐え切れなくなったようだった。
彼は斎藤咲子に近づいた。
斎藤咲子は彼を制止した。「近づかないで!」
青木晴人は眉を上げ、まったく動じなかった。
「私は自分で何をすべきか分かっています」斎藤咲子は大声で言った。
青木晴人は斎藤咲子を見つめた。
「その通りだ。お前は昔から村上紀文に弄ばれていたんだから、今さら取り繕う必要もないだろう」
「お前は鈴木知得留より賢いな。自分にとって何が一番いいのか分かっている。鈴木知得留という女は目が節穴で、冬木空を選ぶなんて!まあいい、今は鈴木知得留に何の感情もない。これからお前と一緒になれば、私の全てをお前に捧げよう」
斎藤咲子は警戒心を持って青木晴人を見つめた。
冬木空は確かにこの陰険な小人の青木晴人より百倍も優れている。
しかし今は愚かにも青木晴人に反論するわけにはいかない。彼を怒らせては自分のためにならない。
「何をすべきか分かっているんじゃないのか?何をぐずぐずしている!」青木晴人は眉を上げた。
斎藤咲子は気づかれないように携帯電話をハンドバッグに入れた。
彼女はバッグを置いた。
青木晴人はじっと彼女を見つめていた。
斎藤咲子は手を伸ばし、少しずつ服を脱ぎ始めた。
青木晴人の口元に企みが成功した笑みが浮かび、それを隠そうともしなかった。
彼は冷笑して言った。「噂では会社の重役と寝て今の地位を手に入れたそうだが、その噂も信憑性があるようだな。こんなにも早く自ら服を脱ぐとは」
斎藤咲子は答えなかった。
彼女はそのまま青木晴人の前でゆっくりと丁寧に服を脱いでいった。
幸い冬だったので、着ている服は多かった。
斎藤咲子は三枚重ねて着ていた。
彼女はぴったりとしたコートを脱ぎ、次に白いブラウスを脱ぎ、その下にはハイネックの下着があった。このように一枚一枚。
青木晴人も急かすことなく、むしろ喜んで待っているようだった。
そうして。
斎藤咲子が最後の下着を脱ごうとした時。
ドアが突然蹴り開けられた。
斎藤咲子の心の中の大きな石がようやく下りた。
彼女は急いで床に落ちていたコートを身にまとい、これ以上露出するのを避けた。
その時。
ドアの外に数人の警察官が現れた。
青木晴人は呆然とした。