夜の景色は本当に素晴らしかった。
そよ風が吹き、波が揺らめいていた。
寄り添う二人は、お互いの最も柔らかな部分を隠すことなく捧げ合い、まるで永遠のようだった。
永遠は、一瞬のうちに過ぎ去った。
誰が先に離れたのか、分からない。
温かな温もりは、その瞬間に冷たく、凍えるように変わった。
冬木空は鈴木知得留の前の椅子にゆっくりと腰を下ろした。
目の前には優美な夕食が用意されていた。
二人は優雅にナイフとフォークを手に取り、一口一口食べ始めた。
味は極上だったが、この時は何も感じられないようだった。
深い沈黙が、周りのすべてを静寂に包んでいた。
給仕する者たちも察して下がっていった。
その瞬間、お互いに何を言えばいいのか、何が言えるのか分からなかった。
鈴木知得留は味も分からないほどだった。