夜の景色は本当に素晴らしかった。
そよ風が吹き、波が揺らめいていた。
寄り添う二人は、お互いの最も柔らかな部分を隠すことなく捧げ合い、まるで永遠のようだった。
永遠は、一瞬のうちに過ぎ去った。
誰が先に離れたのか、分からない。
温かな温もりは、その瞬間に冷たく、凍えるように変わった。
冬木空は鈴木知得留の前の椅子にゆっくりと腰を下ろした。
目の前には優美な夕食が用意されていた。
二人は優雅にナイフとフォークを手に取り、一口一口食べ始めた。
味は極上だったが、この時は何も感じられないようだった。
深い沈黙が、周りのすべてを静寂に包んでいた。
給仕する者たちも察して下がっていった。
その瞬間、お互いに何を言えばいいのか、何が言えるのか分からなかった。
鈴木知得留は味も分からないほどだった。
彼女はゆっくりと食器を置いた。
目の前の冬木空はまだ丁寧に食事を続けていた。
彼の一挙一動は非常に上品で優雅だった。
時々鈴木知得留は考えていた。天は冬木空を惜しんだのだろうか、こんなにも完璧に作り上げた男を若くして失うのを惜しんで、もう一度生きる機会を与えたのだろうか。そして彼女に与えられたのは何のためだったのか?すべての真実を見極めるためだったのか?
彼女は軽く笑い、漠然とした憂いを笑い飛ばした。
彼女は言った。「冬木空、今日の服装、とても似合っているわ」
冬木空のナイフとフォークを持つ手が一瞬止まった。
彼は相変わらず冷静で、「この服を忘れたのか?」と言った。
「忘れていないわ」忘れていないからこそ、より素敵に見える。「やっぱり私のことを長い間好きだったのね」
「ああ」
「どうして私を好きになったの?」
私なんかに価値があったの?
こんなに優秀な男性が、なぜ彼女を愛することになったのか。
「価値があるとかないとか関係ない。恋に理由はない。好きになったら、それだけだ」好きになったら、一生好きなまま。
「うん」鈴木知得留は頷いた。
頷いた瞬間、そのまま笑って、そのまま淡い笑顔を浮かべた。
その笑顔には、多くの感情が欠けていた。
夜は更けていった。
鈴木知得留はほとんど食べずに、目の前の冬木空に付き合い、彼が自分の分の夕食を少しずつ完食するのを見守った。
お腹いっぱいになったのならそれでいい。