第546章 彼は戻ってこない(1更)

病室の中。

広橋香織は、空と道明寺華の結婚について非常に積極的な態度を示していた。

空は微笑んで、「おばさん、ありがとうございます。両親との関係は私なりに上手く処理していきますが、もし必要な時は助けを求めさせていただきます」と言った。

「いつでも声をかけてね」広橋香織は気さくに答えた。

「はい」

「そうそう、これからどうするの?もうすぐ試合でしょう」広橋香織は気遣わしげに尋ねた。

「華の体調が一番大事です。今回の試合は辞退しました」

「空、あなたこそ本当の男よ!」広橋香織は率直に褒め、心からの言葉を続けた。「ある人とは百倍も違うわ」

「過分なお言葉です。ただ華のことをもっと大切にしたいだけです。メダルや栄誉なら、これからまだたくさんチャンスがありますから」

「これこそ良い男の証よ。空、華をあなたに任せて本当に安心できるわ」