第545章 広橋香織は華とJoeを必死に引き合わせる(3)

「弁護士契約を結びましょうか」北村忠は道明寺華に尋ねた。

今は本当に道明寺華に信じてもらえないことが怖かった。

今は本当に道明寺華に嫌われることが怖かった。

たとえ、たとえもう可能性がなくても、せめて彼女の心の中にこんな悪い印象を残したくなかった。

道明寺華は少し躊躇した。

彼女は「いいわ」と言った。

「いいわ」と言った瞬間、明らかに彼を信じていなかった。

彼も心の中の感情を言い表せなかった。彼は「じゃあ明日の朝一番で弁護士に契約書を作成してもらいます」と言った。

「うん」

「じゃあ、行きます」

「うん」

北村忠は背を向けて去っていった。

様々な苦しみを抑えながら、道明寺華の病室を出た。

出る瞬間に何かを思い出した。

彼は振り返った。

振り返ると、Joeが道明寺華を抱きしめ、恋人同士のように優しく抱きしめているのが見えた。

そして彼らは、そんな経験は一度もなかった。

北村忠は去った。

何も言わずに去っていった。

部屋の中には、再びJoeと道明寺華だけが残された。

道明寺華はその瞬間、実は少し戸惑っていた。

なぜJoeが突然彼女を抱きしめ、突然こんなにも強く抱きしめるのか分からなかった。

彼女の心臓は少し早く打ち、顔も少し赤くなった。

虎を救うために意図的にJoeにキスをしたことを思い出して……

彼女は本当にそれ以上考えるのが恥ずかしかった。

Joeは長い間彼女を抱きしめてから、やっと離した。

道明寺華の白い頬は本当に赤くなって、とても可愛らしかった。

Joeは「すみません、自分を抑えられませんでした」と言った。

「え?」

「あなたの許可なく抱きしめてしまって」とJoeは説明した。

「ああ、大丈夫よ」と道明寺華は首を振った。

大丈夫。

Joeは「華、昨日あなたは、私のことが好きだと言いましたね?」と言った。

道明寺華の赤い頬は、その瞬間さらに真っ赤になった。

「私、私はただ……」

「私もあなたが好きです」とJoeが突然口を開いた。

彼は思った。

もう待てない。

これ以上待っていたら、彼の年齢はさらに上がってしまう。

彼は実は既に、家庭を持つべき年齢になっていた。

道明寺華はそのままJoeが好きだと言うのを聞いていた。

好きだと言う。