第545章 広橋香織は華とJoeを必死に引き合わせる(3)

「弁護士契約を結びましょうか」北村忠は道明寺華に尋ねた。

今は本当に道明寺華に信じてもらえないことが怖かった。

今は本当に道明寺華に嫌われることが怖かった。

たとえ、たとえもう可能性がなくても、せめて彼女の心の中にこんな悪い印象を残したくなかった。

道明寺華は少し躊躇した。

彼女は「いいわ」と言った。

「いいわ」と言った瞬間、明らかに彼を信じていなかった。

彼も心の中の感情を言い表せなかった。彼は「じゃあ明日の朝一番で弁護士に契約書を作成してもらいます」と言った。

「うん」

「じゃあ、行きます」

「うん」

北村忠は背を向けて去っていった。

様々な苦しみを抑えながら、道明寺華の病室を出た。

出る瞬間に何かを思い出した。

彼は振り返った。

振り返ると、Joeが道明寺華を抱きしめ、恋人同士のように優しく抱きしめているのが見えた。