北村忠の病室の中。
北村忠は目を閉じる勇気もなく、ベッドに横たわったまま、こっそりと道明寺華を見つめ続けていた。彼女がソファーで目を閉じて眠っている様子を。
今はもう夜11時から12時くらいだろう。
病室の灯りは暗くなっていた。
世界中が静まり返ったかのようだった。
北村忠は何だか現実味がないような気がした。
彼のことをこんなに嫌っていた道明寺華が、どうしてこうも素直に残ってくれて、しかも彼のすぐ近くに横たわっているのだろう。
もう眠りたくなかった。
本当に。
一秒たりとも眠りたくなかった。
布団に潜り込んで、目だけを出して、ソファーで眠っているように見える道明寺華を見つめていた。
そうやって見つめていると……
「寝ないの?」道明寺華が突然口を開いた。
目は開けていなかったが、彼が寝ていないことを知っていた。
北村忠の胸が高鳴った。
その瞬間、見透かされた恥ずかしさもあった。
慌てて言い訳を探し、「ちょっと喉が渇いて。」
道明寺華はゆっくりと閉じていた目を開けた。
彼女はソファーから立ち上がり、北村忠に水を注いだ。
北村忠も苦労してベッドから起き上がった。
道明寺華からコップを受け取り、一気に飲み干した。
「もっと要る?」道明寺華が尋ねた。
「いらない。」
道明寺華は頷き、コップを脇に置くと、また隣のソファーに横たわった。
北村忠も横になった。
それでも眠れなかった。
やはり眠りたくなかった。
こっそりと道明寺華を見つめ続けた。
実は、自分が寝てしまったら道明寺華が帰ってしまうのではないかと怖かった。
「まだ寝ないの?」道明寺華は北村忠にじっと見つめられ、さすがに落ち着かなかった。
北村忠は言った、「トイレに行きたい。」
道明寺華はまたソファーから立ち上がった。
北村忠は彼女を見つめた。
道明寺華はベッドから彼を支え起こした。
北村忠の胸の鼓動はさらに激しくなった。
「行きましょう。」道明寺華は彼を支えて立たせた。
北村忠はそうしてベッドから降りた。
「痛っ……」北村忠は痛みで声を上げた。
道明寺華は眉をひそめた。
北村忠は言った、「足が痛い。」
道明寺華は不思議そうだった。
彼女は彼の足を傷つけた覚えはなかった。
「どうしたの?」