第564章 華との愛を見つめて(その1)

北村忠の病室の中。

北村忠は目を閉じる勇気もなく、ベッドに横たわったまま、こっそりと道明寺華を見つめ続けていた。彼女がソファーで目を閉じて眠っている様子を。

今はもう夜11時から12時くらいだろう。

病室の灯りは暗くなっていた。

世界中が静まり返ったかのようだった。

北村忠は何だか現実味がないような気がした。

彼のことをこんなに嫌っていた道明寺華が、どうしてこうも素直に残ってくれて、しかも彼のすぐ近くに横たわっているのだろう。

もう眠りたくなかった。

本当に。

一秒たりとも眠りたくなかった。

布団に潜り込んで、目だけを出して、ソファーで眠っているように見える道明寺華を見つめていた。

そうやって見つめていると……

「寝ないの?」道明寺華が突然口を開いた。

目は開けていなかったが、彼が寝ていないことを知っていた。