第565章 北村忠が病気を装って華を使う(2番目)

病室の中。

Joeと道明寺華が一緒に座って、二人はずっと話をしていて、まるで北村忠が急に空気になってしまったかのようだった。

北村忠は彼らが何を話していたのかわからなかった。

時々、道明寺華の控えめな笑顔が見えた。

笑うと本当に……綺麗だった。

道明寺華は本当に綺麗になった。

一体いつから、道明寺華は変わったのだろう。

顔立ちは確かに同じなのに、なぜ今見るとこんなにも綺麗に見えるのだろう。

髪型だろうか?

肌の色だろうか?

立ち振る舞いだろうか?

それとも……情人の目には西施に見える、というやつか。

好きだから、彼女のすべてが好ましく見えるのだ。

部屋の中。

突然電話が鳴った。

Joeは電話を取り出して見て、通話を始めた。

道明寺華は静かに彼の傍らに寄り添っていた。

Joeは電話を切ると道明寺華に言った、「戻らないといけない、彼らの訓練があるから。」

「うん。」道明寺華は頷いた。

Joeはその時、言いかけて止めた。

道明寺華は今では他人の感情をよく感じ取れるようになっていて、時には自然と相手が何を言いたいのかがわかるようになっていた。

彼女は言った、「北村忠の退院まで待ちます。」

事は彼女が引き起こしたことだから、それは責任からだった。

Joeは唇を引き締め、少し笑って、道明寺華を困らせることは決してなかった、「じゃあ時間があったら会いに来るよ。」

「うん。」

Joeは去っていった。

ようやく去っていった。

北村忠はJoeの背中を見つめ、そして道明寺華も同じようにJoeの背中を見つめているのを見た。

北村忠の目には、道明寺華の眼差しは名残惜しそうに見えた。

まさに深い名残惜しさがあるように。

しかし実際その時、道明寺華はただ少し……言い表せない感情があって、少し混乱していた。

彼女は考えたくなかった。

彼女は多くのことについて、こだわりたくなかった。

彼女は振り返った。

振り返ると北村忠がじっと彼女を見つめているのに気付いた。

彼女は眉をひそめた、「何か用?」

北村忠は我に返った。

彼は言った、「お腹が空いた。」

道明寺華の表情は明らかに良くなかった、「さっきはなぜ食べなかったの?」

「ある人を見てたら食欲がなくなった。」

「じゃあ食べなくていい。」

「これが患者の世話の仕方?」