第576章 頂上決戦、鈴木友道の顔に泥を塗る!

上野和明は藤縄で道明寺華を縛り、藤縄を掴んで登っていった。

北村忠は下で見守っており、心配そうな表情で彼らが少しずつ登っていくのを見ていた。

しばらくして。

上野和明はついに道明寺華を引き上げた。

彼は藤縄を下ろし、北村忠に投げ、大声で尋ねた。「自分で登れるか?」

「大丈夫です。」

上野和明は北村忠のことは気にしなくなった。

彼は道明寺華を背負った。

道明寺華はそのまま力なく背中にもたれかかり、言った。「師匠、私はもしかしたら...」

「もしかしたらなんてない。」上野和明は彼女の言葉を遮った。「私たちは必ず生きて出られる。」

道明寺華は頷いた。

彼女も簡単には諦めないつもりだった。

彼女にはまだ虎がいる。

虎が家で待っているのだ。

彼女は自分に言い聞かせ続けた、必ず耐えなければならない、必ず耐え抜かなければならないと。

上野和明は道明寺華を背負ったまま北村忠を待っていた。

しばらく待った。

突然、空から音が聞こえてきた。

上野和明は急いで上を見上げ、多くのヘリコプターが空中で旋回しているのを見た。

「まずい!」上野和明は素早く道明寺華を連れて脇の林の下に隠れた。

道明寺華もその瞬間、胸が締め付けられる思いだった。

「これだけのヘリコプターが入ってきたということは、冬木空はまだ脱出できていないかもしれない。」上野和明は推測した。

もし脱出していれば、これほど多くの人が捜索に来るはずがない。

彼は不安を抱えていた。

一晩で終わると思っていたのに。

道明寺華は言った。「師匠、私のことは放っておいて、鈴木知得留を探してください。」

上野和明は絶対に道明寺華を見捨てるわけにはいかなかった。

彼は即座に決断して言った。「お前を連れて先に行く。北村忠は自分で出て行くしかない。私たちが安全になってから迎えに来よう。」

「はい。」

北村忠を連れていくのは、確かに彼らの足手まといになるだけだった。

上野和明は道明寺華を背負い、今まさに必死に登っている北村忠に向かって言った。「私たちは先に行く。お前は自分で何とかしろ。」

「おい、上野和明...」北村忠は今ちょうど中間地点で登っていた。

上野和明の言葉に、興奮のあまり落ちそうになった。

「待ってくれ、待ってくれ!くそっ!」北村忠は完全に崩壊しそうだった。