上野和明は藤縄で道明寺華を縛り、藤縄を掴んで登っていった。
北村忠は下で見守っており、心配そうな表情で彼らが少しずつ登っていくのを見ていた。
しばらくして。
上野和明はついに道明寺華を引き上げた。
彼は藤縄を下ろし、北村忠に投げ、大声で尋ねた。「自分で登れるか?」
「大丈夫です。」
上野和明は北村忠のことは気にしなくなった。
彼は道明寺華を背負った。
道明寺華はそのまま力なく背中にもたれかかり、言った。「師匠、私はもしかしたら...」
「もしかしたらなんてない。」上野和明は彼女の言葉を遮った。「私たちは必ず生きて出られる。」
道明寺華は頷いた。
彼女も簡単には諦めないつもりだった。
彼女にはまだ虎がいる。
虎が家で待っているのだ。
彼女は自分に言い聞かせ続けた、必ず耐えなければならない、必ず耐え抜かなければならないと。