「青木研二、この光景は少し、見覚えがあるんじゃない?」清水紗佳は目の前の男を冷笑いながら見つめ、口元には特に邪悪な笑みを浮かべていた。
冬木空は全く気を抜くことができなかった。
彼は次々と襲いかかってくる無数の狼犬と戦い続けていた。
絶え間なく狼犬が彼らに噛みついてくる。
鈴木友道はある程度の戦闘力はあったものの、長くは持たず、すでに体のあちこちを噛まれていた。
冬木空は鈴木友道も守らなければならなかった。
清水紗佳は目の前の光景を見て、狂ったように笑っていた。
以前もこうだった。
以前の青木研二も、このように少しずつ噛み殺されていったのだ。
違うのは、今回の青木研二は前回よりも明らかに抵抗力があることだった。
でもそれがどうした。
結局は疲れ果てて死ぬだけだ。
彼女は極めて邪悪な笑みを浮かべながら、青木研二が倒れる瞬間を待ち構えていた。青木研二が狼犬に食い尽くされる様を見るのを待ち望んでいた!
現場は血の海と化していた。
冬木空は彼らに近づく狼犬を次々と蹴り飛ばしていた。
鈴木友道も冬木空の後ろで同じように戦っていた。
しかし。
彼の体力は限界に近づいていた。
もう長くは持たない。
彼は充血した目で次々と迫ってくる狼犬を見つめ、その鋭い牙で彼らを噛みつく様子を見ていた。
「あっ!」鈴木友道が叫び声を上げた。
脚を一匹の狼犬に噛まれたままだった。
冬木空は鈴木友道の叫び声を聞いて、すぐさま振り返って鈴木友道の脚を噛んでいた狼犬を思い切り蹴り飛ばした。狼犬は痛みで鈴木友道を放した。
鈴木友道の脚は血肉が露出し、血が流れ続けていた。
そして冬木空が鈴木友道を襲った狼犬を追い払おうとした隙に、彼を狙っていた狼犬が一気に腕に噛みついた。
冬木空は全力で狼犬を振り払った。
腕も血肉が露出していた。
清水紗佳はただそれを見つめていた。
狂ったように笑いながら見つめていた。
青木研二が彼女の目の前で、また死のうとしているのを。
また血を流して死に、また狼犬に食い尽くされようとしているのを。
清水紗佳の心は不思議と血が沸き立つような感覚に襲われた。
彼女は人を殺すたびに、言い表せないような快感を覚えるのだった。血を見る度に、血まみれの肉を見る度に、なぜか興奮してしまうのだった。