第574章 道明寺華、お願いだから生きて(2更)

夜の闇。

深まっていく。

誰もが知っている、これは夜明け前の暗闇だと。

次の瞬間、空が明けるかもしれない。

空が明るくなるかもしれない。

明るくなればなるほど、発見されやすくなり、逃げられなくなる。

道明寺華は位置追跡装置のついたブレスレットを持って、かなりの距離を歩いた。このタイミングでブレスレットを捨てれば、彼らは鈴木知得留たちを見つけられないだろうと予測した。

道明寺華がそう考えていた時。

突然、林の中から銃声が聞こえた。

道明寺華は緊張した。

銃声は近かった。

何か怪しい者を見つけて撃ったのだろうか?

そして今、怪しい者と言えば、彼らの仲間かもしれない。

その瞬間、道明寺華は躊躇することなく、そのブレスレットを素早く大きな木の最上部に置き、木から降りて、慎重に銃声のする方向へ向かった。