夜の闇。
深まっていく。
誰もが知っている、これは夜明け前の暗闇だと。
次の瞬間、空が明けるかもしれない。
空が明るくなるかもしれない。
明るくなればなるほど、発見されやすくなり、逃げられなくなる。
道明寺華は位置追跡装置のついたブレスレットを持って、かなりの距離を歩いた。このタイミングでブレスレットを捨てれば、彼らは鈴木知得留たちを見つけられないだろうと予測した。
道明寺華がそう考えていた時。
突然、林の中から銃声が聞こえた。
道明寺華は緊張した。
銃声は近かった。
何か怪しい者を見つけて撃ったのだろうか?
そして今、怪しい者と言えば、彼らの仲間かもしれない。
その瞬間、道明寺華は躊躇することなく、そのブレスレットを素早く大きな木の最上部に置き、木から降りて、慎重に銃声のする方向へ向かった。