上野和明は北村忠を担いで進んでいた。
北村忠は本当に申し訳なく感じていた。
彼は初めて自分が本当に役立たずだと感じた。道明寺華の世界では、彼は何の価値もなかった。
全員が息を切らしていた。
およそ1時間歩いた。
「まだ追ってきているか?」上野和明が尋ねた。
「追ってきています」道明寺華が言った。「しつこく追跡してきます。まるで私たちの位置を知っているかのように、常に同じ距離を保ちながら後ろにいます!」
その時、冬木空が突然足を止めた。
全員が彼を見つめた。
冬木空が言った。「誰かの身体に追跡装置が付けられているはずだ」
全員が凍りついた。
その時、北村忠も上野和明に下ろされた。
途中、北村忠も自分で歩いていたが、もう歩けなくなった時は道明寺華と上野和明が彼を担いでいた。しかし、ほとんどの時間は自分で歩いていた!
立ち止まった瞬間。
彼はもう耐えられず、また地面に座り込んでしまった。
「全員、身体に怪しいものがないか探してください」冬木空が指示し、さらに注意を促した。「止まらずに、歩きながら確認してください!」
北村忠は歯を食いしばって立ち上がった。
その瞬間、突然誰かに担がれるのを感じた。
「道明寺華、自分でできるから……」
「もう足手まといにならないで!」道明寺華は荒い息を抑えながら言った。
北村忠は黙るしかなかった。
「私の身体に怪しいものがないか探してくれ」道明寺華が北村忠に言った。
彼女は北村忠を担いでいたため、自分の身体を確認する余裕がなかったからだ。
北村忠は道明寺華の肩に乗りながら、彼女の身体を探った。
「遠慮せずに、全身を探して!」道明寺華が命じた。
その時、北村忠の心臓の鼓動が速くなった。
くそっ。
こんな時でも、胸がドキドキするなんて。
彼は感情を抑えながら、道明寺華の身体を丁寧に一点一点探り始めた。彼女の要求通り、徹底的に探した。
徹底的に探したが、怪しいものは何も見つからなかった。
北村忠は心拍数を抑えながら、自分の身体にも何かないか探し続けた。
何もなかった。
全員が何も見つけられなかったようだった。