第569章 冬木空と清水紗佳の過去の秘密(3番目)

総督府。

清水紗佳は君島楓に遺書を書き直させた。

三通の遺書が統領の前に置かれた。

清水紗佳は「署名して!」と言った。

統領は冷笑して「殺されても署名はしない!」

「構いません」清水紗佳は笑った。「あなたがそうすると分かっていました。楓、筆跡模倣師を連れてきなさい」

統領は信じられない様子で清水紗佳を見つめた。

しばらくすると、中年の男が震えながら入ってきた。

「統領の名前を書きなさい」

「奥様……」

「死にたくなければ!」

男は仕方なくペンを取り、遺書に統領の名前を書いた。

まるで本物のように、一般人には見分けがつかないほどだった。

署名が終わった。

清水紗佳は目配せをした。

君島楓は人に連れ出すように指示した。

連れ出されるや否や、銃声が一発鳴り響いた。

何が起きたかは想像に難くなかった。