この男は一体誰なのか?!
清水紗佳は瞬きもせずに冬木空を見つめていた。
信じたくないのに、信じざるを得なかった!
冬木空は清水紗佳のさまざまな感情を見つめながら、こう言った。「この世界は不思議なもので、科学では説明できないことがたくさんある。例えば……人は死んでも魂は残る!」
「信じない!」清水紗佳は激しく興奮した。
これは彼女の年齢になってようやく経験する、稀有な感情だった。
長年の間、彼女はどんな事態にも動じない態度を身につけていた。
しかし今、本当に心が揺さぶられていた。
「信じるか信じないかは重要ではない。重要なのは、私たちも決着をつけるべき時が来たということだ」と冬木空は言った。
彼の冷静さ、内に秘めた落ち着きは、20代では到底身につけられないもので、本当に歳月の積み重ねが必要なものだった!
彼女は首を振った。
信じられないと、ずっと首を振り続けた。
冬木空はもはや彼女に視線を向けなかった。
彼は目を転じ、椅子に寄りかかる統領を見た。統領は先ほど息を詰まらせ、今も激しく咳き込み、呼吸を整えようとしていた。一瞬の死の恐怖に、まだ動揺が隠せない様子だった。
清水紗佳も統領の方を見た。
次の瞬間。
突然、冷静さを取り戻した。
彼女の目が鋭く光った。
部下に一つの視線を送る。
その部下が鈴木知得留に向かって突進した。
鈴木知得留に近づいた瞬間、道明寺華が素早く前に出て、鈴木知得留を後ろに庇い、同時に相手の手にある黒い武器を蹴り飛ばした。
清水紗佳の表情が暗くなった。
彼女は冬木空を睨みつけた。
彼が黒い拳銃を彼女の頭に向けているのを見て。
すると。
部屋にいた清水紗佳の他の部下全員が武器を構えて冬木空に向けた。
ドアの外から突然大勢の人間が押し寄せてきた。全員統領側の人間で、彼らを完全に包囲した。
清水紗佳は感情を抑えていた。
冬木空は言った。「今になってようやく分かった。あの時、我が家が遭遇した全ては、お前が仕組んだことだったんだな!」
長い間、彼は青木太一一家の仕業だと思っていた。しかし、その背後にこれほど大きな闇の勢力が支えていたとは思いもよらなかった。