第571章 風雲変、罠(2)

夜の闇が広がっていた。

辺りは静寂に包まれていた。

街全体が眠りについているかのようで、今夜の日本国にとって、どれほど衝撃的な出来事が起こるのか、誰も知る由もなかった!

数台の車が荒野へと入っていった。

全ての車が停止した。

ヘッドライトが暗闇を照らしていた。

全員が車から降りた。

鈴木知得留もその中にいた。

彼女は大股で君島御門に向かい、君島御門は最前列にいる冬木空に向かって歩いた。

その時、冬木空は清水紗佳を人質に取っていた。

向かい側には君島秋と鈴木友道、そして多くの武器を持った死骸組織のメンバーが立っていた。

鈴木友道は死骸組織の一人に拘束され、頭に武器を突きつけられていた。

その瞬間、誰かが来るのを見て、興奮した様子を見せた。

鈴木知得留を見た瞬間、さらに慌てた様子で、「姉さん!姉さん!」

鈴木知得留は彼に冷静を保つよう目配せをした。

鈴木友道はその合図を受け、必死に落ち着きを取り戻そうとした。

君島秋は清水紗佳と君島楓の姿を見て、その瞬間緊張した様子を見せた。

清水紗佳は彼女に目配せをした。

君島秋は頷いた。

にらみ合う両陣営。

清水紗佳が言った、「青木研二、交換してもいいかしら?」

冬木空は鈴木友道を見つめた。

鈴木友道も冬木空を見つめ返した。

「君島秋に鈴木友道を連れて来させろ」冬木空は命じた。

清水紗佳は頷き、君島秋に向かって大声で言った、「秋、鈴木友道を連れて来なさい」

「はい」君島秋は急いで頷いた。

冬木空もその時、清水紗佳と同じく武器を向けられている君島楓を連れて、両陣営の中間地点へと歩み寄った。

「冬木空」鈴木知得留は前に出て、後ろから彼を抱きしめた。

冬木空の体が硬直した。

清水紗佳も鈴木知得留の行動を目にした。

心の中で...嫉妬が渦巻いた。

彼女の残忍な眼差しが一瞬閃いた。

鈴木知得留はつま先立ちになり、冬木空の耳元で囁いた。

声は小さかった。

清水紗佳には聞こえなかった。

しかし、二人の親密な様子は、はっきりと目に焼き付いた。

鈴木知得留は言い終えた。

彼女は彼の唇に近づき、キスをした。「帰りを待ってるわ」

冬木空は頷いた。

鈴木知得留は数歩後ろに下がった。

冬木空は再び清水紗佳を人質に取り、一歩一歩慎重に中央へと歩を進めた。