集中治療室の中。
冬木空の顔は包帯で覆われていた。
鼻と口だけが露出し、目さえも覆われていた。
鈴木知得留の感情が揺れ動いた。
彼女はただそうして彼を見つめていた。
彼の体に多くのチューブが繋がれ、動かない姿を見つめていた。
「中に連れて行きましょう」と君島御門が言った。
冬木空を見舞うたびに、君島御門も感情が揺れ動いていた。
あの日、もし父親に監禁されていなければ、もっと早く到着できたはず。早ければ、こんなに悲惨な結果にはならなかったかもしれない。
彼の喉が動いた。
彼は鈴木知得留を集中治療室に押し入れ、冬木空の傍まで連れて行き、そして静かに出て行った。
部屋の中には、二人だけが残された。
鈴木知得留は手を伸ばした。
彼の頬に触れようと手を伸ばしたが、どこに触れていいのか分からなかった。