集中治療室の中。
冬木空の顔は包帯で覆われていた。
鼻と口だけが露出し、目さえも覆われていた。
鈴木知得留の感情が揺れ動いた。
彼女はただそうして彼を見つめていた。
彼の体に多くのチューブが繋がれ、動かない姿を見つめていた。
「中に連れて行きましょう」と君島御門が言った。
冬木空を見舞うたびに、君島御門も感情が揺れ動いていた。
あの日、もし父親に監禁されていなければ、もっと早く到着できたはず。早ければ、こんなに悲惨な結果にはならなかったかもしれない。
彼の喉が動いた。
彼は鈴木知得留を集中治療室に押し入れ、冬木空の傍まで連れて行き、そして静かに出て行った。
部屋の中には、二人だけが残された。
鈴木知得留は手を伸ばした。
彼の頬に触れようと手を伸ばしたが、どこに触れていいのか分からなかった。
固まった腕をゆっくりと下ろした。
彼女の瞳は目の前の冬木空をずっと見つめ続けた。
喉が痛く、一言も発することができないほどだった。
どうすれば冬木空を目覚めさせることができるのか分からなかった。
どうすれば冬木空を生かすことができるのか分からなかった。
涙が止めどなく流れ続けた。
まるで一生分の涙を流し尽くすかのように。
彼女は口を開いた。
「冬木空」と呼びかけた。
冬木空は反応しなかった。
「冬木空……」
やはり反応はなかった。
彼女の視界は涙で曇った。
どれほど願ったことか。
彼女が呼びかければ、すぐに応えてくれることを。
以前のように、彼女が呼びかければ「奥様」と応えてくれることを。
「冬木空、目を開けてくれない?私を見てくれない?こんなに眠ったままでいないで」
こんなふうに、動かないでいないで。
彼女の涙が一滴一滴、病床に落ちた。
彼の前にうつ伏せになりながらも、彼の頬に顔を近づける勇気はなかった。涙ながらに語りかけた。「家族の権力への執着を知ってから、私はずっと自分が生まれ変わった理由を疑っていた。この生まれ変わりにどんな価値があるのか、私の生まれ変わりは神様の悪戯なのではないかと。でも今はそうは思わない。むしろ、もう一度生きられることに感謝している。あなたに出会えたことに感謝している。生きている世界であなたと出会い、愛し合えたことに感謝している」
「冬木空、私、妊娠したの」と鈴木知得留は言った。