番外004 村上紀文が出所(2)

2年後の東京。

時代の進歩によって、この都市はさらに輝かしく、華やかになっていた。

また3月がやってきた。

街中に柳の綿毛が舞っていた。

高級な黒塗りの車が通りを走り、陽光が差し込み、東京の繁華さがより一層輝いて見えた。

巨大な電子スクリーンには、「冬木空が商業管理機構を引き継いだ」というニュースが繰り返し流れていた。

大画面に。

冬木空のハンサムな顔が高精細な大画面に映し出され、彼のような容姿のせいか、大多数の人々はもはやニュースの内容よりも、なぜこの男がここまでかっこよくなれるのかということに関心を持っているようだった。

斎藤咲子は車に乗り、途切れることのない車の流れの中を進みながら、周囲の高精細スクリーンを眺めていた。

2年間の療養を経て、かつてのハンサムな冬木空は、ついに鈴木知得留によって元の姿を取り戻した。

再び国民的イケメンとなった。

彼女は考えていた。鈴木知得留は冬木空をこれほどまでにハンサムに育て上げたことを後悔していないだろうか。今や冬木空は芸能人以上に女性たちに人気がある。

彼女の口元に笑みが浮かんだ。

本当に、冬木空と鈴木知得留の関係を思うと、おばさんのような微笑みが浮かんでしまう。

あの二人の幸せは、他人までも幸せな気持ちにさせる。

彼女の瞳が微かに動いた。

冬木空の絶世の美貌から視線を外そうとした時、その瞬間、目が止まった。

彼女は振り返り、車が通り過ぎた場所に見覚えのある人影を見た。

一瞬のことだった。

車は走り去り、人混みに隠れた。

「社長」傍らから鈴木隼人の声が聞こえた。「何を見ていたんですか?」

彼女は振り返った。

おそらく見間違いだろう。

人の海の中でこれほど多くの人がいる中、一目で彼を見つけられるはずがない。

それに、まだ2ヶ月ほどあるはずだ。

彼女は言った。「何でもないわ」

表情は真剣そのものだった。

鈴木隼人もそれ以上は聞かなかった。彼は恭しく業務を報告した。「これからお会いするのは、海外投資企業の日本支社CEOです。この方は東京出身ですが、幼い頃から海外で育ち、最近本国に派遣されてきました。仕事のスタイルは冷徹で容赦がなく、誰の顔色も伺いません。自分の意思を貫く人物です。私も3回目でようやくアポイントを取ることができました」

「ええ」斎藤咲子は頷いた。