番外13 プロジェクト成功(その1)

翌日の早朝。

柳田茜は村上紀文と一緒に柳田村へ向かった。

村の入り口に入ったところで。

いわゆる加賀さんこと加賀勝が待っていて、柳田茜の車が入ってくるのを見て、急いで迎えに来た。

村上紀文と柳田茜が車から降りると。

加賀勝は興奮して村上紀文の手を握り、「村上さん、本当にありがとうございました。あの田中次郎がようやく借金を認めてくれました。私はもうこの4万円が戻ってこないと思っていました。今日は必ずお礼をさせていただきます」

村上紀文は微笑んで、「加賀さん、お気遣いなく。ほんの些細なことです」

「村上さんは見た目からして教養のある方だと分かります。普通の人ではこんな方法は思いつかないでしょう。私にはとても無理です」

「私にもできません」柳田茜は急いで言った。「村上さん、どうやって田中次郎に加賀さんからの借金を認めさせる方法を思いついたんですか」

柳田茜は本当に感心していた。

加賀勝には証人も借用書もなく、田中次郎は借金を完全に否定していたため、どこで訴訟を起こしても無駄だった。そこで村上紀文は計略を立て、加賀勝に、ある晩田中次郎と酒を飲むように指示した。お金の話はせず、ただ昔話をして、その後二人で村の川辺を散歩し、翌日から姿を消すように。そして4日目、つまり昨日、妻に失踪届を出させ、加賀勝が行方不明になったと。すると警察は自然と加賀勝の失踪の原因を調査することになり、常識的に考えて、自分の潔白を証明するため、田中次郎は真実を話すはずで、加賀勝から4万円借りただけで殺害するはずがないと言うだろう。

こうして、田中次郎は警察に対して借金の事実を自ら認めることになり、加賀勝は事情があっての行動だったため、警察も警告で済ませるだろう。これで田中次郎の借金踏み倒しの件は適切に解決できる。

村上紀文は軽く笑って、「ふと思いついただけです」

「学生の頃から頭が良いと思っていましたが、今は本当に、とても賢いと思います」柳田茜は心から言った。

村上紀文はただ微笑むだけだった。

一行は加賀勝の家に入った。

家では既に昼食の準備が整っていて、豪華な料理が並んでいた。村上紀文の他に、柳田夫妻も招かれていた。

二家族と村上紀文は四角いテーブルを囲んで座った。