番外012 相変わらず女性にモテる(2更)

暗闇の中。

村上紀文は柳田茜を見つめていた。

柳田茜は慌てて説明した。「わざとここで待っていたわけじゃないの。友達とカラオケに来ていて、今終わったところで、たまたまあなたを見かけただけ」

村上紀文は彼女の嘘を指摘しなかった。

だって、もう仕事は終わっているのに、カラオケが今終わったはずがない。

「夜食でも食べない?」と彼は言った。

柳田茜は有頂天になった。

冷静を装おうとしたが、それでも心臓は激しく鼓動していた。「ちょうどお腹が空いていたの」と彼女は言った。

「何か美味しいものある?」と村上紀文は尋ねた。「おすすめを教えてくれない?」

「あるわ。すぐ近くに24時間営業の黒糖タンユエンのお店があって、私すごく好きなの。あなたも気に入るかしら?」

「食べてみれば分かるさ」

「うんうん」

村上紀文と柳田茜は近くの屋台へと向かった。

今は遅い時間で、人はまばらだった。小さな店内には彼らだけが客だった。

二人は黒糖タンユエンを食べていた。

柳田茜は少し申し訳なさそうに口を開いた。「あまり味が薄すぎると思わない?」

「いや、胃の調子が良くないから、辛いものは控えめにしているんだ。これぐらいがちょうどいい」

「胃の具合が悪いの?それに本当に痩せたわね」柳田茜は心配そうに尋ね、顔には心痛めるような表情を浮かべていた。

村上紀文は軽く笑って、「大したことないよ」と答えた。

「もっと食べて」

「うん」村上紀文は頷いた。

しかし実際はほとんど食べていなかった。

黒糖タンユエンの量はそれほど多くなかったが、彼は3分の1も食べていなかった。

柳田茜はもっと食べてほしかったが、どう言えばいいか分からなかった。

「柳田さん、明日は一日空いているんだ」村上紀文が突然切り出した。

柳田茜の心拍が加速した。

村上紀文は言った。「お父さんに会いたいんだけど、都合はどうかな?」

柳田茜は驚いた。「どうして父に会いたいの?」

村上紀文は隠さずに言った。「友人がある事業を計画していて、柳田村の土地を使用したいと考えているんだ。今、村の人々が難色を示しているようで、お父さんと話をして、具体的な理由を理解したいと思って」

柳田茜のさっきまでの興奮が少し萎んでいった。「斎藤グループのエコプロジェクトのことね」

「ああ」