番外007 再会(その1)

村上紀文は生鮮食品を買って帰った。

彼は帰宅前に、わざと母親に階下へ特製醤油を買いに行かせた。夜には母親のために醤油漬け鴨を作ると言った。

母親が階下に行ったのを確認してから、家に戻り、汚れた服を脱いで、体の汚れを簡単に洗い流し、別の清潔な服に着替えて出てきた。その時には、母親はすでに戻っていた。

母親は村上紀文の体の異常に気付かず、彼がキッチンに入っていくのを見ていた。

キッチンに入りながら、スマートフォンで料理の作り方を調べていた。

渡辺菖蒲は村上紀文の傍らで付き添っていたが、ただ付き添っているだけで、手伝おうとはせず、村上紀文が少し不慣れな様子で食事の準備をするのを見ていた。

実際、村上紀文は料理をしたことがなかった。

ただ、どんなことも、心を込めて学べば、そう難しくはないはずだと思っていた。