番外008 村上紀文がからかわれる(その1)

個室の中。

相変わらず薄暗い空間。

誰も誰の顔をはっきりと見ていなかったかもしれない。

あるいは、彼女の視線は取るに足らないウェイターには向けられなかった。

個室の中で、一人の女性がグラスを受け取りながら言った。「私は女性と付き合うのが本当に苦手なんです。女性は小さなことにこだわりすぎると思うし、特に日本国の女性は昔からわがままですから。でも咲子さんとは一目で意気投合しましたね。さすが女性実業家の名は伊達じゃない。さあ、この一杯を!」

斎藤咲子は微笑んで、「お褒めに預かり光栄です。乾杯」と返した。

二人は続けて何杯か飲んだ。

Linaは数曲歌った。

斎藤咲子も少しの間一緒に歌った。

Linaはお酒を飲みながら言った。「こうして座っているだけじゃ退屈ですね」

斎藤咲子は今やビジネスの世界で様々な人々と接してきたため、すぐにLinaの意図を理解した。