カラオケルームの中。
全員が村上紀文を見つめる中、彼はベストのボタンを一つずつ外し、白いシャツも脱いでいった。
Linaは口元に笑みを浮かべた。
斎藤咲子もその時、酒を飲みながら村上紀文の行動を見守っていた。
終始、無関心を装っていた。
彼女は村上紀文の現状をよく理解していた。彼は出所したばかりで、渡辺菖蒲が全財産を使い果たし、彼は貧しかった。建設現場で肉体労働をしているということは、良い仕事が見つからないということを意味し、ここで働いているのも同じ理由だった。このように必死に働いているのは、おそらく金に困っているか、渡辺菖蒲が借金を抱えているのかもしれない。
そんな中、金持ちの女性に囲われる機会があれば。
少なくとも、彼の生活は楽になるはずだ。
普通の人なら、このような状況で断ることはないだろう。
村上紀文のような賢い人間なら、どうすれば生活が良くなるかわかっているはずだ。
これまでの行動は全て演技だったのかもしれない。ビジネス界で長年経験を積んできた彼なら、中年女性の注目を集める方法は手の内にあるはずだ。
結局のところ、彼女から見れば、今の村上紀文は痩せこけすぎて、本当に女性に好かれるとは思えなかった。
斎藤咲子は冷静に考えていた。
村上紀文が全ての服を脱ぐのを見ていた。
その瞬間。
彼の上半身を見たとき、一瞬驚いた。
こんなに痩せた人を見たことがなかった。
皮一枚だけが残っているかのように痩せ細り、骨が全て突き出ていて、恐ろしい様相を呈していた。さらに、彼の体には多くの傷跡があり、既に痂になっているもの、新しい傷、青あざなど、とにかく恐ろしい光景だった。
斎藤咲子はその時、村上紀文がまるで生ける屍のような感覚を覚えた。
生きている人間が、どうしてこんなに痩せることができるのだろうか。
彼女は、こんなに背の高い人が、こんなに痩せた骨格で、どうやって自分を支えているのか不思議に思った。
村上紀文の今の姿は、かつての冬木空が大病から回復した時よりもさらに極端だった。
それでも。
それでもなお、彼女は冷静でいられた。感情を全く表に出さないほど冷静だった。
村上紀文も斎藤咲子の方を振り向かなかった。
彼の目はLinaに向けられていた。
Linaも明らかに村上紀文のこの身体状態に驚いており、しばらく言葉が出なかった。