番外015 村上紀文、月契約しますか?

村上紀文は振り返って斎藤咲子を見た。

斎藤咲子は少し離れたところに立ち、冷たい目で彼を見つめていた。

二人は数秒間見つめ合った。

村上紀文は言った、「俺はいくらの価値があると思う?」

斎藤咲子の瞳が微かに動いた。

彼女は村上紀文が話し合いの技術に長けていることを知っていた。

一言で彼女を問い詰めてきた。

彼女は少し黙り込んだ。

昨夜のことを思い出した。

昨夜は意識がずっと朦朧としていて、時には自分が何をしていたのか、目の前の男性に何をしていたのかさえわからなかったが、目が覚めた今、一つ一つの場面が鮮明に脳裏に浮かび、消えることはなかった。

彼女はこの瞬間、思わず村上紀文を何度も見つめた。

彼女はこの瞬間、村上紀文の現在の体の状態で、彼がまだ生きていること、まだ立ち上がれることさえ不思議に思った。

彼女は言った、「市場価格で言えば、5万円しか払わないわ」

この価格は、ホストの中でも一晩を共にする最高級の価格だった。

彼にそのような最高級の価値があるとは思っていないが、昨夜は...確かに彼女は少しやりすぎたのだ。

村上紀文は言った、「何でもいいよ」

何を言っても、何でもいい。

斎藤咲子は彼の無関心な様子を見つめた。

村上紀文はいつもこのような態度で、彼女に彼の感情を感じさせなかった。

実際、村上紀文という人間はとても複雑で、彼女が彼の考えを深く考える必要もなかった。

彼女にとって、彼は何の意味もなかった。

そして彼女はこれ以上時間を無駄にしたくなかった。

彼女は振り返り、部屋に入って携帯電話を取り出した。

しばらくして。

村上紀文の携帯電話にメッセージが届き、銀行振込の通知だった。

5万円。

村上紀文はその数字を見つめた。

彼は言った、「お粥を少し食べたら?胃が楽になるよ」

斎藤咲子は何も言わなかった。

村上紀文は斎藤咲子が彼の作ったものを食べないだろうと思った。

彼は振り返り、去っていった。

斎藤咲子も冷たくそんな彼を見つめていた。

村上紀文が去った後、斎藤咲子は振り返ってテーブルの上のお粥を見た。

彼女の胃は確かに少し不快だった。昨夜はおそらく激しく吐きすぎたせいで、今は胃の中に何も入っていないような気がした。しかも昨夜はあんなに体力を使ったのだから...

彼女は食卓に座った。