番外015 村上紀文、月契約しますか?

村上紀文は振り返って斎藤咲子を見た。

斎藤咲子は少し離れたところに立ち、冷たい目で彼を見つめていた。

二人は数秒間見つめ合った。

村上紀文は言った、「俺はいくらの価値があると思う?」

斎藤咲子の瞳が微かに動いた。

彼女は村上紀文が話し合いの技術に長けていることを知っていた。

一言で彼女を問い詰めてきた。

彼女は少し黙り込んだ。

昨夜のことを思い出した。

昨夜は意識がずっと朦朧としていて、時には自分が何をしていたのか、目の前の男性に何をしていたのかさえわからなかったが、目が覚めた今、一つ一つの場面が鮮明に脳裏に浮かび、消えることはなかった。

彼女はこの瞬間、思わず村上紀文を何度も見つめた。

彼女はこの瞬間、村上紀文の現在の体の状態で、彼がまだ生きていること、まだ立ち上がれることさえ不思議に思った。