番外023 レストランでの出会い、プロポーズの現場（二更）

「村上紀文は最近誕生日じゃなかったっけ？」鈴木隼人が突然尋ねた。

彼が意図的に村上紀文の誕生日を覚えていたわけではなく、クラスメイトの間で誕生日会が流行っていた時期があり、村上紀文と同じ月に誕生日を迎える女子数人が特に興奮していた。その中の一人が彼の隣の席の子で、なぜか自然と記憶に残っていたのだ。

斎藤咲子の瞳が揺れた。

彼女も村上紀文の誕生日を覚えたくはなかったが、明らかに今日が彼の誕生日だということを忘れていた。

しかし今言われて...言われて、思い出した。

昨夜、村上紀文が彼女にメッセージを送ってきたのは...

違うはずだ。

おそらく彼女が帰るかどうか尋ねただけだろう。結局、彼女はスポンサーだから、彼女が帰るなら彼は付き合わなければならないし、彼女が帰らないなら、彼は母親と一緒に過ごせる。

しかし確かに。

彼女はかなり長い間、渡辺菖蒲を見ていなかった。この女性がまだこの世界に存在していることをほとんど忘れるところだった。

「斎藤会長？」鈴木隼人が彼女を呼んだ。

彼女が突然ぼんやりしていたからだ。

斎藤咲子は振り返った。

「まだお腹すいてないですか？」鈴木隼人は笑った。

鈴木隼人には斎藤咲子がなぜそんなに急いでいるのか分からなかった。実際、明日帰ってくれば日程にもっと余裕ができるし、会社にも緊急に処理する必要のある事項は特になさそうだった。しかし、斎藤咲子は社長なので、彼女が帰りたいと言えば、彼はもちろん従うだけだ。

帰ってきたのはちょうど食事の時間だった。

彼は斎藤咲子を食事に誘った。

実際、彼女の同意を事前に得ていなかったが、海外にいる時点で既に予約を入れていた。

斎藤咲子も断りづらかった。

昨夜、村上紀文には帰らないと言っていたし、鈴木隼人との食事を承諾した理由は、実は中途半端な時間に帰って村上紀文を混乱させたくなかったからだ。

どうやら。

自分が考えすぎていたようだ。

村上紀文もいつでもどこでもあの家で彼女を待っているわけではない。

彼女は鈴木隼人と角の席に向かった。

二人は向かい合って座った。

鈴木隼人は全体的に少し緊張しているように見えた。

普段二人はよく一緒に食事をするが、彼がこんな風になることはなかった。

斎藤咲子は鈴木隼人が何かを隠しているような気がした。