番外036 彼女は誰もが思うよりも、もっと自立している(三更)

村上紀文はパソコンを閉じた。

彼は立ち上がって斎藤咲子に歩み寄り、彼女のバッグを取って、「今日は早く帰ってきたね」と言った。

「着替えに帰ってきただけよ。夜は食事に帰らないわ」

「わかった」

斎藤咲子は部屋に戻り、外出用の服に着替えた。

彼女は普段、フォーマルな服装をしており、いつもスーツを着て、黒、白、グレーの色で、髪もきちんとポニーテールにまとめていた。見た目は精力的で、存在感があるが、女性らしさに欠けていた。

しかし今、彼女の服装はいつもと全く違っていた。

彼女は淡い紫色のイブニングドレスに着替えた。純粋な色だが、デザインは非常に大胆だった。

細いストラップが二本あり、その下には柔らかく流れるような紫色のシフォンスカートがあった。胸元は深いVネックで、背中は薄いシフォン生地で覆われ、透け感があり、下半身も薄いシフォンで、その下には重要な部分を隠す超ミニの白いタイトスカートがあった。銀色のハイヒールと合わせると、全体的に背が高く、セクシーでありながら、柔らかな仙女のような雰囲気を醸し出していた。

斎藤咲子は今、髪も下ろしていた。

彼女は精巧な夜会メイクをし、パーティーバッグを持って出かけた。

「パーティーに参加するの?」村上紀文が尋ねた。

「うん」

「気をつけて行ってきて」

「うん」

斎藤咲子はそのまま出て行った。

村上紀文は彼女の姿を見つめていた。

彼は突然口元に笑みを浮かべた。彼女があんなに露出の多い服装で出かけることが気になっていたのだ。

実際、上流社会のパーティーでは、ほとんどがそのような服装だった。

もっと気を遣う人たちは、外出時にもっと着飾るものだが、斎藤咲子はかなりシンプルな方だった。

彼はリビングに戻り、床から天井までの窓の前に立って、斎藤咲子がマンションの正門から出ていくのを見ていた。

正門では、黒い車が停車していた。

鈴木隼人が車のドアの前で彼女を待っており、彼女が現れると、紳士的にドアを開けて彼女を招き入れた。

村上紀文は車が走り去るのを見ていた。

彼は振り返り、自分の仕事に戻った。

……

斎藤咲子は車の中に座っていた。

鈴木隼人は斎藤咲子の服装を見て、「野村成行のような老いた色魔に触られても平気なのか」と言った。