番外045 彼らの間も、終わりにすべきだ

渡辺菖蒲の手術当日。

村上紀文は早朝から病院に駆けつけた。

柳田茜は村上紀文のあの日の説得で、昨日は病院に来なかったが、今日の手術には結局来ていた。

村上紀文は彼女を一瞥した。

柳田茜は言った、「私はただおばさまに付き添いに来ただけよ」

村上紀文は何も言わなかった。

渡辺菖蒲は手術室へ運ばれた。

渡辺菖蒲はとても緊張していて、村上紀文の手を握りしめながら、「もし私が手術台で死んだらどうする?私が死んだらどうなるの?」

「死なないよ」村上紀文は真剣に答えた。

渡辺菖蒲の目が少し赤くなった、「村上紀文、私はこの世で残されたたった一人の肉親なのよ、もし私が死んだら、もし私が死んだら……」

「もういいよ」村上紀文は母の手を握り返した、「外で無事に出てくるのを待っているから」

渡辺菖蒲は村上紀文をじっと見つめた。

病気の前では、渡辺菖蒲も実は恐怖を感じていた。

村上紀文は彼女に確固たる視線を送った。

渡辺菖蒲は医師について手術室に入っていった。

村上紀文は外で彼女を待った。

柳田茜も村上紀文から少し離れた場所に立ち、二人とも何も話さなかった。

柳田茜は実際、村上紀文の緊張が見て取れた。

もし渡辺菖蒲があれほど極端でなければ、村上紀文と母親の関係はきっと良好だったのだろう。

「村上紀文、心配しないで。今の医療はとても発達しているから、お母さんはきっと大丈夫よ」柳田茜は慰めた。

村上紀文は軽く頷いた。

「手術は少し時間がかかるかもしれないから、座って待ちましょう」柳田茜は言った。

村上紀文も自分をゆっくりとリラックスさせようとしていた。

心配していないというのは嘘だ。

渡辺菖蒲の言うとおりだった。

この世界で、彼女は彼の唯一の肉親だった。

村上紀文は廊下の椅子に座った。

柳田茜は彼の隣に座った。

雰囲気はまだ少し緊張していた。

柳田茜も何を話せばいいのか分からなかった。

二人はしばらく座っていた。

長くても30分ほど。

手術室の大きな扉が開いた。

村上紀文は胸がどきりとした。

彼は急いで前に出て、「何があったんですか?」

医師はマスクを外し、ため息をついた、「お母さんの病状は私たちの予想よりもずっと深刻です」

「どうしたんですか?」村上紀文は緊張して尋ねた。