番外057 半年後の予期せぬ出会い(三更)

「もしもし、村上紀文、私、結婚するんだ」北村忠は興奮した様子だった。

村上紀文は口元に笑みを浮かべた。「華が君と結婚してくれるんだね」

「兄貴の魅力は大きいんだよ」

「そんなに魅力があるのになぜ何年も追いかけることになったんだ」

「ちゃんと話せないのか」北村忠は不機嫌そうだった。

「いつなんだ?」

「来月の15日だよ。電子招待状を後で送るから、必ず来てくれよ」

「わかった」

「その時は一人で来ないでくれよ」北村忠は突然注意した。

「なぜ?」

「斎藤咲子に彼氏ができたって聞いたんだ。お前が気まずくなるといけないから」

村上紀文はただ少し笑っただけだった。

彼はほぼ半日、斎藤咲子の名前を聞いていなかった。

彼は言った、「わかった」

「そんなにあっさりと、本当に誰かできたのか?」

「その時になればわかるさ」

「謎めかしてるな?」北村忠は不機嫌そうだった。

「うん」村上紀文は正直に答えた。

「まあいいや、その時に君の彼女がどれだけ美しいか見せてもらおう。斎藤咲子に負けないようにな。あの女、お前にあまりにも冷たかったから、彼女を後悔させるべきだよ」

彼にはそんなくだらないことをする気はなかった。

彼は言った、「他に用がなければ電話を切るよ」

「やっぱり咲子の話になると避けるな。まだ彼女のことを忘れられないのか?」

「そんなことはない、ただ他にも用事があるんだ」

「わかったわかった、他の人たちにも知らせてくるよ」

そう言って、北村忠は電話を切った。

村上紀文は電話を置き、時間を確認してから再び電話をかけた。

相手はすぐに出た、「紀文」

「何時に仕事終わる?」

「6時よ」

「迎えに行くよ」

「いいわ、自分で車で帰るから」

「今夜は外で食事しよう」村上紀文は言った。

「今日は何か特別な日?」柳田茜は尋ねた。

「いや、ただ料理したくないだけだ」

「じゃあ帰って作るわ」

「外で食べたくないの?」

「外で食べるのはあんなに高いのに…」

「僕がおごるよ」

「そういう意味じゃないの、あなたも稼ぐのは大変なのに…」柳田茜は思いやりを込めて言った。

「後で会社の前で迎えに行くよ」

「わかったわ」

村上紀文は電話を切った。

柳田茜と結婚して半年、付き合ってきたのも半年だった。