突然、彼は私の唇から離れた。がっかりして、ベッドから離れていく彼を見上げた。彼が服を脱ぎ、床に投げ捨てるのを見つめていた。
その後、彼は裸のままベッドに戻り、私の開いた唇を奪いながら、その体で私を覆った。私も同じように情熱的にキスを返し、この甘美な酔いしれるようなキスが永遠に続くことを願った。
キスはあまりにも早く終わったが、今度は私の首という別の敏感な部分に優しいキスを降らせ、そして胸元へと降りていき、ピンク色の蕾を口に含んだ。赤ちゃんが喉の渇きに襲われたかのように吸い付く彼に、私の足指がうっとりと丸まった。もう一方の蕾は親指でマッサージされ、くすぐったい感覚で硬くなっていった。
心が溶けるような、息を呑むような恍惚感の波に溺れないよう、私は彼の髪に指を絡ませ、引っ張った。
彼は私の胸への愛撫を止め、私の脚を広げた。彼が中心に位置を取り、前に突き進んできた時、私の開いた唇から柔らかな喘ぎ声が漏れた。彼を迎え入れた時、私の歯が彼の肩に食い込んだ。彼が私の奥深くまで押し入ってきて、私の中心が彼の硬さを完璧な手袋のように包み込むまで、私の指は彼の背中に食い込んでいった。抑えきれない喘ぎ声が部屋中に響き渡り、彼は私の口を塞ぐようにキスをした。
部屋が消え去り、しばらくの間、私は宇宙空間へと運ばれ、絶頂に達した時、無数の花火が目の前で炸裂した。彼が私の上で痙攣する前に、彼の強力な解放を感じることができた。
エースは私の横に横たわった。私は満足げな溜息をつきながら、彼の下で丸くなった。疲れで重たくなった瞼が閉じていった。
「フェニックス、君を自由にしなければならない。君に幸せになってほしいんだ。だから最大の犠牲を払うことにした。君を傷つけてしまって申し訳ない。いつか許してくれることを願っている。君から離れて前に進むために、それが唯一の方法だったんだ。」
頬に彼の唇が触れるのを感じたが、私は目を開けなかった。「愛してる、フェニックス」夢の世界に落ちていく前に、彼がそうつぶやくのが聞こえた。
***
ガラス窓から差し込む朝日で目が覚めた。すぐに目を開いた。
何時だろう?
起き上がろうとしたが、激しい頭痛が頭を襲い、ベッドに倒れ込んでしまった。うめき声を上げながら、じっと横たわり、痛みの波が収まるのを待ってから再び起き上がった。
ベッドに座った時も頭は依然として痛んでいたが、今度はなんとか我慢できる程度だった。しかし、胃がむかつき、吐き気を感じた。
ガラス窓に目をやると、ブラインドが横に引かれているのに気付いた。そして突然、空気中に漂うコーヒーの香りが私の注意を引いた。その香りの出所を探すと、ナイトテーブルの上にホットブラックコーヒーを見つけた。その横には水のグラスと、頭痛用のアスピリンの瓶が置いてあった。
部屋に自分一人ではないという考えに、私はその場で凍りついた。すぐにブランケットを掴み、裸の体を覆うように巻きつけた。
エースを探して部屋中を見回す間、私の心臓は胸郭の中で激しく鼓動していた。部屋の中には彼の姿はなかった。しかし、ベッドのもう片側は乱れており、彼が私の隣で寝ていたことを示していた。
昨夜赤ワインを一本空けて、ベッドで意識を失ったことは覚えていた。しかし、誰かに見つめられているのを感じて目が覚めた以外は、それ以降のことは何も思い出せなかった。
そして、ベッドの真ん中で愛し合っている男女の光景が思い浮かび、その男にしがみついている女性が自分だと気付いて、私はショックで息を飲んだ。
そんなはずない!情熱的な愛の営みの記憶が断片的に蘇ってきた時、私の目は恐怖で大きく見開かれた。