愛してる
なぜなら
この宇宙全体が
私をあなたへと
導いてくれたから
—パウロ・コエーリョ—
***
手首の銀の腕時計を見つめ、私は微笑んだ。フェニックスが高価な贈り物をくれたのだ。とても美しい。私が浴室にいる間に彼女が部屋に入り、ベッドサイドテーブルの上に置いていったに違いない。彼女は親切にも贈り物をくれたのに、私は何も返せないのが申し訳なかった。
私の視線は空っぽの階段に移り、フェニックスが現れるのを待った。約30分待ち続けて、不安になってきていた。
神経質に行ったり来たりしながら、黒いスラックスのポケットに手を突っ込んだ。午後の出来事が頭の中で繰り返し再生されていた。
フェニックスはまだ私に怒っているのだろうか。その日のもっと早い時間に彼女の部屋に行って全てを説明すべきだったが、できなかった。私たちの間に信頼の問題はない。私は彼女を信頼しているが、ただ彼女の心配を増やしたくなかっただけだ。