舞踏会

愛してる

なぜなら

この宇宙全体が

私をあなたへと

導いてくれたから

—パウロ・コエーリョ—

***

手首の銀の腕時計を見つめ、私は微笑んだ。フェニックスが高価な贈り物をくれたのだ。とても美しい。私が浴室にいる間に彼女が部屋に入り、ベッドサイドテーブルの上に置いていったに違いない。彼女は親切にも贈り物をくれたのに、私は何も返せないのが申し訳なかった。

私の視線は空っぽの階段に移り、フェニックスが現れるのを待った。約30分待ち続けて、不安になってきていた。

神経質に行ったり来たりしながら、黒いスラックスのポケットに手を突っ込んだ。午後の出来事が頭の中で繰り返し再生されていた。

フェニックスはまだ私に怒っているのだろうか。その日のもっと早い時間に彼女の部屋に行って全てを説明すべきだったが、できなかった。私たちの間に信頼の問題はない。私は彼女を信頼しているが、ただ彼女の心配を増やしたくなかっただけだ。

私がレイヴンウッド夫人の息子だと知ったら、きっと彼女は極度に心配するだろう。フェニックスは私と母との不和を十分に知っているし、それを知ったら彼女は終わりなく悩むことになるだろう。

今夜は私たち二人にとって特別な夜だ...台無しにしたくないほど特別な夜なのだ。フェニックスは忘れているかもしれないが、私は覚えている。今夜は私たちの結婚6周年記念日だ。できる限り思い出に残るものにしなければならない。

階段から柔らかな足音が聞こえた。私の心臓が跳ねて、音のする方に顔を向けた。階段を降りてきたのはマダム・ステラで、がっかりした。

階段を降り切ると、彼女は私に安心させるような笑顔を向けた。「ベアトリクスはすぐに降りてきますよ。エリサが髪の仕上げをしているところです。」

私は頷いた。フェニックスが早く来てくれることを願いながら。彼女に会うのが待ち遠しかった。そして彼女が私に怒っていないことを確認したかった。

「あなた、彼女を愛しているのですね?」マダム・ステラが静かに言った。彼女の方を見ると、まるで私の考えが読めるかのように、じっと見つめていた。