ドアを閉め、長く狭い廊下を通ってフロントデスクにルームキーカードを返しに行った瞬間、私の心臓が不吉な予感とともに不規則なリズムを刻み始めた。
この不快な感覚が生じた時は、たいてい単純に追い払えば消えてしまう。しかし、今回は暗い予感を押しのけても消えず、むしろ強まり、私に迫る危険に警戒するよう告げていた。
バックパックを背負ってホテルの外に出た瞬間、誰かに見られているのを感じた。そこに立ち続けるほど、不快感は増していった。
白昼堂々と襲われることはないだろうから、今のところは安全なはずだ。
人でいっぱいのこの場所で、誰も私を傷つけようとはしないはずだ。
鷹のように鋭い目で群衆を見渡した。
警戒した視線で左右を確認した。今のところ不審な人物は見当たらないが、油断はできない。まだ迫り来る危険の予感が消えていなかった。