愛とは、ただの言葉にすぎない
誰かが現れるまでは
その意味を与えてくれる人が。
—パウロ・コエーリョ—
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振り返って確認することはできなかったけれど、彼がそこにいることは分かっていた。不思議なことに、その考えは私を理由も分からないまま緊張させた。
胃の中で蝶が舞い、手袋の下で手が冷たくなり、胸の中で心臓が宙返りをした。
ダンスに集中して楽しもうと自分に言い聞かせたけれど、できなかった。あまりにも気が散って、ステップを間違えてしまったけれど、カリックスが助けてくれて、姿勢を立て直すことができた。
カリックスは何も言わなかったし、私の集中力の欠如についても何も言わなかった。彼は穏やかに、部屋に押し寄せる大勢のゲストが私をそわそわさせているのだと考えていた。
音楽が終わり、彼の番が終わったことを示していた。
カリックスは私の頬にキスをして、「お誕生日おめでとう、姉さん」と囁いた。彼の唇は照れくさそうな笑みを浮かべていた。
「ありがとう」私は返事をして、笑顔を見せた。
「パーティーを楽しんでください」と彼は言った。
「あなたも楽しまなきゃね」と私は彼に思い出させ、小さな男の子のように優しく頭を撫でた。「隅っこに隠れてばかりいちゃだめよ」
最後の言葉で彼は笑顔を見せた。
「分かったよ」と約束して、彼は脇に寄った。
ブライスがカリックスが空けた場所に入ってきた。「このダンスを頂けますか、愛しい姉さん」彼は優雅な王子のように膝を曲げ、エレガントに手を差し出した。
「もちろん、断るわけないでしょう」と私は答え、彼の手を取った。皆の視線が私たちの動きを追う中、彼が部屋の中央へと私を導く間、私の唇から笑いがこぼれた。
彼は私の腰に手を置き、私は彼の肩に手を滑らせた。
「エースは今のあなたを誇りに思うだろうね。まるでオリンポス山から直接降りてきた女神のように神々しく見える」とブライスは感嘆の声で言った。
突然の悲しみの波が私を襲った。「そうね」と私は答え、涙をこらえた。
「彼が恋しいんだね」と兄は言った。それは質問ではなく、断言だった。
「もちろんよ」と私は弱々しく囁いた。「彼のことを考えない日は一日もないわ」私は喉の塊を飲み込み、唇に笑顔を強いた。「今夜、彼がここにいてくれるなら、私の持っているものすべてを差し出してもいいのに」