フラッシュバック

執事がメニューを手渡してきた。

私はこの国で人生の大半を過ごしてきたはずなのに、まるで初めて見るような料理名ばかりで、とても新鮮に感じた。

何を食べるか決められない私に代わって、ルーカスが私たち二人が好みそうな料理を慎重に選んで注文してくれた。

執事は注文リストを持って立ち去った。

料理が運ばれてくるのを待つ間、ルーカスはテーブル中央に残っていたキャンドルに火を灯し、新鮮なローズウッドの香りが空気中に漂った。

キャンドルの柔らかな光と月明かりが彼の顔を照らし、その気高い顔立ちは半神のように見えた。

私は彼の顔から視線を逸らそうとしたが、すでに彼に魅了されてしまっていて不可能だった。

悪名高い影響力や評判の良くない噂にもかかわらず、なぜ女性たちが彼に惹かれるのか、私にはよく分かっていた。女性が抗えない何かが彼にはあり、それは単なる魅力以上のものだった。

彼は男だった。ただの男ではなく、とても危険な男だった。それにもかかわらず、女性たちは磁石に引き寄せられるように彼に惹かれていた。容姿の良さは別として、おそらく彼の人柄が羊の群れのように女性たちを引き寄せているのだろう。正直に認めれば、私もそんな女性の一人だった。

「私の基準をクリアできたかな?」ルーカスの声が私の思考を中断させた。彼に視線を向けると、唇の端に微かな面白そうな笑みが浮かんでいるのが見えた。

私の頬が熱くなった。彼に見とれているところを見られてしまい、なんだか恥ずかしかった。恥ずかしさにもかかわらず、私は彼に微笑み返すことができた。「あなたは基準以上よ」言葉を止める前に答えてしまった。

ルーカスの目が輝いた。彼は胸の前で腕を組み、片眉を少し上げた。「1から10で評価してみて」私の率直な正直さに面白がって言った。

考えるふりをして、顎に指を当てながら、誠実な態度で答えた。「11点」

彼は目に涙が浮かぶほど大声で笑った。「それは給料アップを望んでいるという意味かな?」

違う。あなたの心が欲しいの。私は心の中で思ったが、自分を恥ずかしい目に遭わせるだけだと分かっていたので、その言葉を口にする勇気はなかった。

「給料アップ?いいえ、最高経営責任者のポジションが欲しいわ」

「君が望むなら、そのポジションを与えることもできるよ」今度は真剣な口調でそう言った。