執事がメニューを手渡してきた。
私はこの国で人生の大半を過ごしてきたはずなのに、まるで初めて見るような料理名ばかりで、とても新鮮に感じた。
何を食べるか決められない私に代わって、ルーカスが私たち二人が好みそうな料理を慎重に選んで注文してくれた。
執事は注文リストを持って立ち去った。
料理が運ばれてくるのを待つ間、ルーカスはテーブル中央に残っていたキャンドルに火を灯し、新鮮なローズウッドの香りが空気中に漂った。
キャンドルの柔らかな光と月明かりが彼の顔を照らし、その気高い顔立ちは半神のように見えた。
私は彼の顔から視線を逸らそうとしたが、すでに彼に魅了されてしまっていて不可能だった。
悪名高い影響力や評判の良くない噂にもかかわらず、なぜ女性たちが彼に惹かれるのか、私にはよく分かっていた。女性が抗えない何かが彼にはあり、それは単なる魅力以上のものだった。