第31章 濡れ衣を着せる

園田円香は足を少し止めた。やはり敵と出会うのは避けられないものだ。彼女はまた林田茜と出会ってしまった。

今日の彼女はあの日のように惨めな姿ではなく、今年の最新のシャネルのセットアップドレスを着て、ティファニーの限定ブレスレットを付け、エルメスのクロコダイルレザーのクラシックバッグを持ち、威圧的な態度で立っていた。

彼女の隣には、少し年上の女性が立っていた。その身なりは林田茜以上に豪華で、とても優雅で気品があった。

以前、江川おばあさんの誕生日パーティーで遠くから一度見かけたことがあり、彼女が林田夫人、林田茜の母親だと知っていた。

彼女は林田茜母娘に興味がなかったので、すぐに視線を外し、薬局のカウンターへ直接向かった。

「お薬を取りに来ました」園田円香は店員に言い、バッグから領収書を取り出して渡した。

店員は受け取って確認し、「園田さん、少々お待ちください。お薬を取ってまいります」と言った。

「はい」

待っている間、園田円香は携帯を取り出してなんとなくスクロールしていた。

コツコツとヒールの音が近づき、園田円香の前で止まった。そして、林田茜の不愉快な声が聞こえてきた。「あら、園田円香、なんて偶然でしょう!」

園田円香はまぶたさえ動かさず、まるで彼女が空気のようだった。

林田茜はそんな園田円香の無礼な態度を見過ごせるはずもなく、すぐに怒りが込み上げてきた。「園田円香、耳が聞こえないの?このお嬢様が話しかけているのが分からないの?」

園田円香は唇の端を少し上げ、やっと顔を上げて彼女を見た。困惑したふりをして、答える代わりに尋ねた。「誰か...私に話しかけていましたか?」

「私には、ただうるさい蠅が耳元でブンブン鳴いているようにしか聞こえませんでしたけど!」

「園田円香!」林田茜は歯ぎしりして怒った。「私を蠅呼ばわりするなんて!」

園田円香は思わず吹き出してしまった。

彼女は林田茜のような、明らかに弱いくせに自分から虐められに来るような人を見たことがなかった。

一撃でKO!

こんな愚か者と戦うのは、まったく面白みがない。

「まだ笑うの?」林田茜は手を上げた。「園田円香、今日こそあなたのその気持ち悪い口を引き裂いてやる!」

言い終わるや否や、彼女の指が園田円香の頬めがけて襲いかかってきた。