第42章 彼は私の足が好き

園田円香の心臓の鼓動が速くなり、片手を空けて、いつも持ち歩いている細い針を取り出し、手のひらに握りしめた。

もし林田夫人がクローゼットの扉を開けたら、すぐに行動に移すつもりだった！

どんなことがあっても、彼女に言いがかりをつける機会は与えないつもりだった。

突然、執事が苦しそうに叫んだ。「奥様、お客様たちをこれ以上止められません。また中に入ろうとしています。今は何よりもまず、お客様たちをお帰しいただくことが先決かと！」

今日はもう十分な恥を晒したのだ。これ以上の騒動は耐えられない。

林田夫人は非常に不本意ながらも、執事の言うことが正しいと分かっていた。今の林田茜の姿を、もし外のお客様に写真を撮られて広まったら、江川家はおろか、他の名家も彼女を受け入れてくれないかもしれない！

林田夫人は自分をどうにか無理やり落ち着かせ、浴室に入ってタオルを取り、林田茜の露出した体を包み、彼女を支えて外に連れ出し、執事に託した。「彼女のことを頼むわ」

執事は頷いた。「かしこまりました、奥様」

林田夫人は目を閉じ、数秒後に開くと、再び品位のある優雅な様子に戻り、そして扉を開けて外に出た。

集まった人々の視線を受けながら、まるで何事もなかったかのように、さらには笑顔を浮かべながら口を開いた。「ご来場の皆様、申し訳ございません。家族の用事が入ってしまいまして、本日のパーティーはここまでとさせていただきます。本日はお越しいただき、ありがとうございました！」

言い終わると、使用人たちに向かって言った。「お客様をお見送りなさい！」

誰もがこのような形で騒動が終わることを望んでいなかったが、客人たちはみな顔の利く人物ばかり。主催者が帰るように言った以上、居座るわけにもいかない。

皆は残念そうに立ち去っていった。

林田夫人は振り返り、急いで主寝室へと向かった。

ドアの前に着くと、すぐに中から扉が開き、若林麗が顔を紅潮させながら、ドレスを整えながら中から出てきた。

その瞬間、二人の目が合った。

若林麗は林田夫人を見て、目に慌てた色が浮かんだ。彼女は今頃、下の宴会場で応対しているはずなのに、なぜ上がってきたのだろうと考えた。