次の瞬間、園田円香はその異様な味に刺激され、顔をしかめて吐き出してしまった。
これはあまりにもまずすぎる!
園田円香は江口侑樹が去った方向を信じられない様子で見つめた。あんなに食べ物にうるさい男が、一体どうやって食べられたのだろう?
しばらく考えても分からなかったが、きっと彼女を支配するためなら手段を選ばないということなのだろう!
いいわ、どこまで耐えられるか見てやろうじゃない!
園田円香は食卓を片付け、食器を洗い終えて、キッチンを出た。
突然、頭上から男の声が聞こえてきた。「園田看護師」
園田円香が顔を上げると、江口侑樹が二階の手すりに片手をかけて立ち、彼女を見下ろしながら命じた。「コーヒーを入れて持ってきてくれ」
ふん、本当に彼女を使役する時間を一分も無駄にしないつもりらしい。
園田円香は笑顔を作って答えた。「はい、江川社長、少々お待ちください!」
彼女は再びキッチンに戻った。
江口侑樹はいつもアメリカンコーヒーを飲んでいて、甘いものが苦手なので、コーヒーに砂糖を入れることは決してなかった。
彼女はコーヒーを入れると、カップの三分の二ほどの砂糖を入れて、よくかき混ぜた。
念のため、カップを持ち上げて少し飲んでみると、瞬間...歯が溶けそうなほど甘かった。
園田円香は急いで白湯を一杯飲んで、甘さを押し流した。
今度こそ、甘さで殺してやる!
...
コーヒーを持って階段を上り、園田円香は書斎に入った。
江口侑樹は大きな机の後ろに座り、黒い瞳でパソコンを見つめながら、長い指でキーボードを素早く叩いていた。仕事の処理をしているようだった。
園田円香は彼の真剣な横顔を見て、一瞬だけ、その完璧な横顔に心を奪われた。
高い鼻筋、薄いピンク色の唇、セクシーな顎のライン、すべてが神の手による傑作だった。
以前、なぜこれほど彼に惹かれていたのか、否定できないのは、この神がかった容姿と大きな関係があった。
「見とれているのか?」
突然の問いかけに、園田円香は反射的に答えた。「きれ...」
一文字言っただけで、何かに気付いたように我に返り、江口侑樹を見た。
男は気付かないうちに視線を彼女に向け、意味ありげに見つめていた。
園田円香は密かに自分を叱りつけた。今は江口侑樹と駆け引きをしている最中なのだ。敵の美貌に惑わされてはいけない。