男は暗がりから姿を現した。背が高くすらりとした体格で、深い目鼻立ちの端正な顔立ちは神々しいほどだったが、全身から人を寄せ付けない冷たい雰囲気を漂わせており、女性たちは彼を直視することすらできなかった。
彼が近づくにつれ、園田円香の目は激しく揺らめき、キューを握る手が少し蒼白くなった。
彼女は無意識に頭を下げ、長い髪で顔を隠そうとした。
彼女がポールダンスを踊れるのは、海外にいた時、生きるために覚えたことだった。江口侑樹は彼女が踊れることを知らないし、さっきも声を変えていたから、まだ気づいていないはずだ!
そうだ、もし江口侑樹が気づいていたら、その場で彼女を引っ張り出していただろう。こんなに落ち着いているはずがない。
園田円香は密かにため息をついた。自分で自分を怖がらせて、先に尻尾を出すわけにはいかない!
そう考えながら、彼女は再び顔を上げ、黒い瞳で前を見つめ、江口侑樹の...唇を直視した。
江口侑樹は園田円香の向かい側に歩み寄り、二人の間にはビリヤード台があった。彼は目蓋を持ち上げ、黒い瞳で物憂げに彼女を見つめたが、何の感情も読み取れなかった。
黒田時久は江口侑樹を一瞥した後、すぐに視線を園田円香に向け、口角を上げて意地悪く笑った。「お嬢さん、友情アドバイスだけど、侑樹さんのビリヤードは神をも倒す腕前で、負け知らずなんだ。私なら、さっさと降参して、みんなの前でストリップショーでも踊って終わりにするね。」
「…………」
今の状況が許すなら、園田円香は本当に黒田時久に麻袋をかぶせて、思い切り殴りたかった!
余計なことばかり言う!
でも、彼の言葉は聞きたくなかったけれど、それが事実であることは認めざるを得なかった。
園田円香がビリヤードを始めたのは、江口侑樹に手取り足取り教えてもらったからだった。江口侑樹は幼い頃から学習能力が極めて高く、江川家の後継者として、多くのことを学んでいただけでなく、どれも精通し、優れていた!
ビリヤードに関して言えば、彼は16歳の時に世界チャンピオンと対戦し、見事に勝利を収めていた!
園田円香が黒田時久と対戦するなら、運が良ければ勝てるかもしれない。でも江口侑樹との対戦は...彼が勝たせてくれない限り、勝つことは不可能だった!