その後、彼は指を動かした。
園田円香はその時、頭の中が真っ白になり、自分がどこからそんな勇気が出たのか分からないまま、突然飛び出していた。
数人の大柄な男たちも、彼女が突然走り出すとは予想していなかったため、反応が遅れた。
彼女はほぼ全身で江口侑樹に飛びかかり、彼の前に立ちはだかった。次の瞬間、銃弾が彼女の背中を貫いた。激しい痛みが一気に襲いかかり、彼女の顔から血の気が引いた。
彼女の見開いた瞳に映る江口侑樹の驚愕の表情。それは彼女が彼を知って以来、初めて見る感情の動きだった。
彼女は何か言おうとして口を開いたが、あまりにも痛くて声を出すことができず、視界もだんだんと霞んでいった。
その後、彼女は江口侑樹の美しい声が彼女の名を呼ぶのを聞いた。「園田円香!」
彼女の心臓が小さく震えた。
あの四年間、彼女は江口侑樹を追いかけ続けていたが、彼は彼女を完全に無視し、ほとんど視線を向けることさえなかった。彼女は...江口侑樹は自分が誰なのか、名前さえ覚えていないだろうと思っていた。
思いがけず、彼は彼女が誰なのか知っていて、名前も呼ぶことができた。
この一声は、これほど長い年月の中で、初めて彼が彼女の名前を呼んだのだ。想像していた通り、彼が彼女の名前を呼ぶ声は、本当に素敵だった。
でも、彼女はもう死んでしまうのかもしれない...
まだこんなに若くて、江口侑樹を振り向かせることもできないまま、こうして死んでしまうなんて。
でも江口侑樹を救えたのなら、後悔はないような気がした。
もう一度目を開けて、江口侑樹を見たいと思ったが、結局まぶたの重さには勝てず、完全な暗闇に落ちていった。
その時、彼女は暗闇の中をずっと歩き続けた。そこから抜け出すことができないまま、ずっとそこに閉じ込められていた。そして再び江口侑樹の声を聞くまで。やはり彼女の名前を呼んでいた。
彼女はその声に導かれて歩き、突然前方に大きな光を見つけた。全身の力を振り絞って走り、光の中に入った瞬間、彼女の目も開いた。
看護師が彼女の血圧を測っていて、彼女が目を覚ましたのを見ると、笑顔で言った。「お嬢さん、やっと目が覚めましたね。もう少し目が覚めなかったら、ご家族もお彼氏さんも心配で大変でしたよ!」