第99章 彼女なのだろうか?

江口侑樹が世話をしていた人は、彼が愛していた人だった……

園田円香の脳裏には、過去の記憶が浮かんできた。彼女が江口侑樹のために銃弾を受け、入院して意識不明だった時期、江口侑樹は毎日彼女の看病に来ていた。

当時、彼女は意識不明の状態だったため、江口侑樹がどのように看病していたのかを見ることはできなかったが、看護師に詳しく聞いていた。

たしか……おそらく……体も拭いてくれていたのでは?

その後、彼が他の人の世話をしているところを見たことはなかった。

だから、江口侑樹が今言っている愛する人というのは、もしかしたら自分のことかもしれない?

園田円香の心臓が一拍抜けた。

待って……でも彼女と江口侑樹は2年間離れていて、彼女が海外にいた時は、江口侑樹のことは何も知らなかった。もしかしたらその2年の間に、誰か親しい女性の世話をしていたかもしれない。あるいは……江川おばあさんかもしれない?

江川おばあさんは確かに江口侑樹が最も大切にし、最も愛している親族なのだ!

そう考えると、園田円香の胸の中で燃えていた小さな炎は、かなり小さくなってしまった。今は何も考えないようにしている。

病室の入り口で突然足音が聞こえ、園田円香は反射的にそちらを見た。田中が江川おばあさんを支えながら入ってくるのが見えた。

これは……噂をすれば影というやつだ!

園田円香は最初驚いたが、すぐに反応して急いで言った。「おばあさん、田中さん、どうしてここに?」

彼女は話しながら、田中の代わりに江川おばあさんを支え、中へ案内した。

江川おばあさんは彼女の手を優しく叩きながら、穏やかに笑って言った。「真澄ちゃんを見舞いに来るのは当然でしょう。それに、あなたが一人で病院にこんなに長くいるのだから、食事もろくにとれていないでしょう。田中に美味しいものと栄養のあるものを作らせて、持ってきたのよ。」

園田円香は感謝の笑みを返した。

彼女は江川おばあさんの言うことは本当だと分かっていたが、もう一つの目的があるはずだった。それは彼女と江口侑樹の関係がどうなっているか、自分の目で確かめることだろう。

これが江口侑樹がどうしても残ろうとした理由なのだろう?江川おばあさんの抜き打ち検査に備えてのことだろう。