園田円香の黒い瞳孔が急に縮み、心臓も激しく鼓動し始めた。
彼女は...見間違えたのだろうか...
江口侑樹が、こんなにも自然に、少しの嫌悪感もなくご飯粒を食べたの?
傍で見ていた江川おばあさんと田中は思わず口を押さえて笑い出し、江川おばあさんは直接からかうように言った。「田中、ほら、夫婦というのはやっぱり一緒にいる時間が必要でしょう?こうやって過ごしていれば、愛情も急速に深まるものよ」
田中は何度もうなずきながら、「私と主人も最初結婚した時は、彼のどこを見ても気に入らなかったんですが、一緒に生活していくうちに、だんだん仲良くなって、最後は蜜月のようになりましたよ。新婚夫婦はやっぱり一緒にいるべきですね!」
いつもネットサーフィンが好きな田中はさらに付け加えた。「ネットでは、仲の良いカップルは手が生えていないって言いますけど、どういう意味か分からなかったんです。でも、ご主人様と奥様を見て、やっと分かりました!」
さっきお互いに食べさせ合っていたのは、まさに手が生えていないようなものだった。
田中はようやく理解した。なぜ朝、おばあさまが電話を受けた後、豪華な昼食を用意して病院へお見舞いに行くように言ったのかを。
もし彼女の推測が間違っていなければ、あの電話は、ご主人様からのものだったはずだ。
どうやらご主人様も理解されたようで、奥様とうまく付き合って、良い生活を送りたいと思われているようだ。
これなら、おばあさまも安心できるし、お孫さんを抱く希望も出てきましたね!
...
園田円香は江川おばあさんと田中のからかいの言葉を聞きながら、すでに赤くなっていた頬がさらに熱くなった。
彼女と江口侑樹の間にどんな良い関係があるというの...人生は演技、演技力だけが頼りだわ。
でも、良い関係がなかったわけではない...
このような食べさせ合いや、お互いの水を飲むような親密な行為は、2年前の恋愛時代の断片を適当に思い出してみると、どのシーンにもあったような気がする。
江口侑樹は昔、彼女にとても優しかった。彼女を甘やかし過ぎて、嫌いな食べ物は全部彼に押し付け、水を飲むのさえ、江口侑樹に注いでもらい、注いだ後も彼に飲ませてもらっていた。