…
翌日の朝。
園田円香は外の波の音を聞きながら目を覚ました。ゆっくりと目を開け、布団にくるまりながら起き上がると、前を見ると、まさに果てしない海が広がっていた。
「目が覚めたか?」
江口侑樹が洗面所から出てきて、彼女を一瞥すると、顎を上げてソファの方を指し示した。「服はそこにある。洗面所に行って、これから出かけるぞ」
「……」
園田円香は一瞬戸惑い、「何か用事があるんですか?」と聞き返した。
「ああ」
江口侑樹は返事をすると、更衣室の方へ真っ直ぐ歩いていった。
園田円香は思わず瞬きを繰り返した。休暇のはずなのに、予定があるの?
彼女はベッドから降り、浴室に入って簡単に身支度を整えた後、ソファの方へ歩いていった。そこには箱が置かれており、開けてみると、また驚いた。
箱の中にはシンプルな白いドレス……というか、ウェディングドレスに近いものが入っていた……
これはどういうこと?服を間違えたの?それとも……江口侑樹は一体何をするつもり?
彼女が理解に苦しんでいる時、江口侑樹が更衣室から出てきた。彼に尋ねようと顔を上げた瞬間、彼が着ている正装のスーツを見て、言葉が詰まった。
江口侑樹は黒い瞳を園田円香に向け、彼女がまだ着替えていないのを見て眉をひそめた。「まだ着替えないのか?」
「いえ……」園田円香はようやく声を取り戻した。「江口さん、どうしてこんな格好をするんですか?パーティーか……結婚式にでも行くんですか?」
観光地を見て回るだけなら、シンプルで快適な服装が一番いいはずなのに!
江口侑樹は彼女の目を見つめ、薄い唇を開いて二文字だけ答えた。「結婚式だ」
結婚式なら……それは納得がいく。
ここは結婚式の聖地だし、江口侑樹の言う休暇というのは、友人の結婚式に参列するためだったのかもしれない。彼女を連れてきたのも、今は江川夫人という立場にいるからだろう。
「ああ、分かりました」
園田円香はドレスを箱から取り出し、無意識のうちにその場で着替えようとしたが、江口侑樹がまだそこにいることに気づき、慌てて浴室の方へ向かいながら言った。「す、すぐに着替えてきます。5分だけください!」
浴室に入ると、園田円香は急いでドレスに着替え、身なりを整えて出てきた。
ただ、ドレスの裾が少し長かったので、彼女は裾を持ち上げながら歩いた。