第161章 付き合ってたの?

彼女は瞼を開けると、江口侑樹がいつの間にか戻ってきて、ソファの前で服を脱いでいるのが見えた。

彼女の視線に気づいたのか、江口侑樹は横目で彼女を見て、眠そうな様子を見て、低い声で言った。「起こしてしまったか?また寝ていいよ。」

彼が帰ってきたことで、園田円香の心も落ち着き、眠気も深まってきた。彼女は軽く「うん」と返事をして、また目を閉じて眠りについた。

江口侑樹はワイシャツとズボンを脱ぎ、手近なソファの肘掛けに放り投げ、浴室に入ってシャワーを浴びた。

出てきた時には、酒の匂いはほとんど消えていた。彼は水滴の垂れる髪を拭き、ベッドに向かって歩き、布団をめくって横たわった。

横向きになり、長い腕を伸ばして、熟睡している園田円香を優しく抱き寄せた。

彼の抱擁に慣れているのか、園田円香は無意識に動いて、彼の胸元で少し身じろぎし、心地よい位置を見つけると、彼にしがみついたまま、また眠りに落ちた。

江口侑樹は静かに眠る彼女の小さな顔を見下ろし、瞳に満足げな笑みを浮かべた。彼は頭を下げ、彼女の眉間にキスを落とし、その後彼女をしっかりと抱きしめたまま、目を閉じて眠りについた。

翌朝。

園田円香はゆっくりと目を開け、無意識に横を見たが、隣は空っぽだった。彼女は一瞬戸惑った。確か、江口侑樹は昨夜帰ってきたはずなのに。

彼女は手でベッドに触れてみた。わずかに温もりが残っていた。どうやら彼はもう起きているようだ。

彼の自己管理能力には感服せざるを得なかった。どんなに夜遅くまで起きていても、早起きができる。だから彼は成功者で、彼女は今まだ何も成し遂げていない…

本来はもう少しベッドでごろごろしようと思っていたが、突然やる気が出てきた。彼女は布団を抱えて起き上がり、数回伸びをして体をほぐしてから、布団をめくってベッドから降りた。

浴室で身支度を整えた後、更衣室で楽な部屋着に着替え、外のテラスで発声練習とスクリプトの練習をするつもりだった。

彼女の本はソファの近くにあった。そこに向かうと、江口侑樹が昨日脱いだ服がまだソファの肘掛けに掛かっているのが目に入った。彼女は軽く口角を上げ、それを手に取った。

まず服のポケットを確認し、中に何も入っていないことを確認してから、洗濯かごの方へ歩いて行き、入れようとした。

突然、見覚えのある香水の香りがした。