第168話 今誰か意見がある？

全員の視線が思わず安藤吉実に向けられ、安藤吉実も唇を少し曲げ、初めてのPKで一位を獲得する準備をしているようだった。

しかし、坂本波の声が一瞬止まった後、「園田円香！」と読み上げた。

会場は一瞬静まり返り、その後騒然となった。園田円香の演技は確かに良かったが、言葉の使い方、オーラ、専門性において、どう考えても安藤吉実の方が優れているはずだ。どうして安藤吉実を超えることができたのか？

吉田希が真っ先に不満を表明し、大声で質問した。「坂本監督、なぜ一位は園田円香なんですか？安藤吉実の方が明らかに優れていて、完璧な演技だったじゃないですか。この結果には納得できません。」

そう言って、彼女は親しい選手たちに向かって「みんなはどう思う？」と尋ねた。

数人の選手がすぐに同調した。「そうですよ、坂本監督。この大会は公平公正なはずですよね？私たちは皆、安藤吉実と園田円香のニュース読みを見ていましたが、安藤吉実の方が明らかに一枚上手でしたよ！まさか園田円香の他の身分のせいで、不公平な扱いをしているんじゃないですよね？」

この発言に、坂本波の表情が一気に曇った。

誰も自分が担当する大会で裏工作があったと暗示されるのは嫌なものだ。彼は扇動者の吉田希を冷たく睨みつけ、冷笑しながら言った。「この大会の結果は絶対に公平公正です。質問があるなら、今すぐ園田円香と安藤吉実の両者の各項目の採点を公開しましょう。」

彼は二人の成績表をスタッフに渡し、スタッフはそれを大スクリーンに映し出した。

安藤吉実と園田円香の成績は、わずか1点の差だった。

台詞、流暢さなど、すべての項目で満点だったが、唯一エラーの項目で、園田円香はゼロ、安藤吉実は1つのミスがあった。

そのため、安藤吉実は園田円香に1点差で負け、2位となった。

参加者たちは顔を見合わせ、安藤吉実自身も眉をひそめ、自分がどこでミスをしたのか考えているようだった。

吉田希は思い返してみたが、安藤吉実の間違いを見つけることができなかった。もし間違いがあったなら、彼女たちが気づかないはずがない。きっと言い訳だと思い、さらに正論を振りかざした。「では坂本監督、安藤吉実のどこが間違っていたのですか？」

もし皆が納得できる点を指摘できなければ、この大会の結果を覆して安藤吉実を一位にできる！