第203章 奥さん、私もあなたを愛してる

やあ、まだ付きまとってくるのね。

園田円香は今日機嫌がよく、彼女に目もくれなかった。美しい一日を台無しにされたくなかったからだ。

安藤吉実はここで待ち伏せしていた。円香が来るのを待って、彼女が一晩中眠れなかった憔悴した様子を一番に見たかったのだ。

染野早紀が昨日彼女に問題を起こしに来た後、早紀が最近自分のことを調査していたという情報を得た。そのため、彼女と江口侑樹の間のことを早紀は知っていた。早紀が知っているなら、きっと円香にも話したはずだ。

お茶を飲んでいる時、江口侑樹は円香からのメッセージを受け取り、家に帰るように言われた。彼女は円香が自分と江口侑樹の関係を疑い始めたことを悟った。

だから、あのSNSの投稿も、あのメッセージも、わざと円香に見せるために送ったのだ。

彼女に心が引き裂かれるような、不眠の苦しみを味わわせてやろうと思ったのだ。

しかし、安藤吉実が円香の顔を見ると、憔悴した様子どころか、むしろ全体的に潤いに満ちた肌で、極めて瑞々しく、光を放っているかのように美しく、目が眩むほどだった。

まさか...化粧でもしているのかしら?隠しているの?

彼女は諦めきれず、さらに数秒円香を見つめた。見れば見るほど、彼女の心は沈んでいった。

円香の顔には化粧の跡が全く見えず、口紅すら塗っていなかった。肌は細かくて毛穴さえ見えないほどで、白い中に薔薇色が透けていた。

安藤吉実の表情が暗くなった。

もしかして昨夜、彼女は自分のSNSの投稿も、送ったメッセージも見ていなかったのかしら?ふん、今日は逃げても、いずれ見ることになるわ。

それなら、今ここで彼女の目の前でもう一度演じてみせましょう。

安藤吉実は突然「痛っ」と声を上げ、バッグから軟膏を取り出した。しかし、うまく持てずに落としてしまった。

軟膏は偶然にも円香の足元に落ち、円香が見ないわけにはいかなかった。

彼女は一目で、これが昨日安藤吉実がSNSで自慢していた軟膏、江口侑樹が買ってきた軟膏だと分かった。