第204話 お前に失望した

後藤淑子は目を上げ、ようやく安藤吉実をまともに見つめ、何かを思い出したかのように淡々と口を開いた。「あぁ、あの...他人の成果を横取りして不正な競争をし、優勝したのに資格を剥奪された安藤吉実ね。覚えているわ」

その一言は、まるでニュースを読み上げるかのように、はっきりと発音された。

会場は一瞬静まり返り、その後、みんな思わず密かに笑い出した。

後藤先生は悪を憎むことで有名で、毒舌家としても知られている。今、みんな本当にその一面を目の当たりにした。

この安藤吉実も自業自得だ。後藤先生と彼らの前で見栄を張ろうとして、結果的に痛い目に遭ったのだ。

安藤吉実の顔色は、まるで油絵の具を浴びせられたかのように、様々な色に変化し続け、見るに堪えないほど醜かった。

彼女は目に涙を浮かべ、口を開いて必死に自分を弁解しようとした。「後藤先生、これには、誤解があるんです...」

後藤淑子は冷たい目で彼女を見つめ、取り合わずに冷たく言い放った。「あなたがさくらテレビに入れたからには、心を正して、きちんと仕事をしなさい。そういう裏道は捨てなさい」

言い終わると、彼女をもう見向きもせずに立ち去った。

安藤吉実はその場に凍りついたまま、周りの人々から投げかけられる嘲笑の視線と、耳に入ってくる嘲笑の言葉に、拳を強く握りしめた。

目の端で園田円香も笑っているのを見て、彼女の内なる怒りと憎しみは頂点に達した。

園田円香、後藤淑子、どちらも許さない。

いつか必ず、彼女たちを全員、足の下に踏みつけて、徹底的に踏み潰してやる!

「みんな、なぜここに集まっているの?仕事はしなくていいの?」

ホールに突然声が響き、みんなの視線は安藤吉実から声の主へと移った。アナウンサー部の部長だと気づくと、一同は慌てて見物する気持ちを収め、各自の持ち場に戻って仕事を始めた。

部長が近づいてきて、園田円香を見、そして安藤吉実を見て、言った。「あなたたち二人が、新しく来たアナウンサーですね?」

園田円香はこの部長を知っていた。彼女の直属の上司で、昨日既にアナウンサー部のメンバーリストを見て、一人一人覚えていた。

園田円香は前に出て自己紹介した。「田中部長、こんにちは。新人アナウンサーの園田円香です」