第205章 一気に彼女を打ち倒す!

「もう少し時間をください。必ず自分の手で私の地位を取り戻し、江口侑樹の妻として、江川家の女主人になります」

何かを思い出したように、安藤吉実は不気味に笑った。「それに、もう計画があるんです」

「そう、今度は先生を失望させないことを願います」

その言葉を残して、向こうはカチッと電話を切った。

安藤吉実は不満げに眉をひそめ、怒りを込めて携帯を置いた。

彼女を見下すこの連中、いつか必ず仕返ししてやる!

このニュースの放送権を獲得すると決めた以上、園田円香は時間を無駄にしなかった。彼女はすぐに田中朝一に関する資料を集め始めた。

敵を知り己を知れば百戦危うからず、というわけだ。

ただし、ネット上の情報は一面的で、誰でも知っているような情報は、無効な情報も同然だった。

やはり直接会って接触する必要がある。

園田円香は大学の公式サイトを開き、田中朝一教授の時間割をダウンロードした。確認すると、今日は授業があった。

このような騒動の中で田中朝一が大学で講義をするかどうかは分からないが、手をこまねいていては何も分からない。運を試してみる価値はある。

そう考えて、園田円香はすぐに荷物をまとめ、バッグを手に取って外に向かった。

取材の任務があるときは、直接外回りができる。

安藤吉実が戻ってきたとき、園田円香が外に向かうのを見た。彼女の後ろ姿に視線を留め、唇の端に不気味な笑みを浮かべた。

園田円香は今回も私に勝とうというの?夢見てろ!今度こそ、一気に叩きつぶしてやる!

園田円香は車で大学に着くと、通りがかりの学生に丁寧に尋ねた。「すみません、物理学部棟はどちらですか?」

その学生は当たり前のように答えた。「あちらです」

園田円香は軽く眉を上げて、「ありがとう」と言った。

物理学部棟に向かうと、遠くから建物の入り口に大勢の人が集まっているのが見えた。カメラや機材を持った記者たちだ。

先ほどの学生のような態度と口調の理由が分かった。

さすがは大きなニュース、これだけの記者が張り込んでいて、授業に来る学生よりも多いくらいだ。蠅一匹通れないほどの人だかりだった。

田中朝一教授は今日来ているようだ。

園田円香は少し考えてから、記者たちの群れには加わらず、別の方向に向かった。

すぐに、物理学部棟から一番近い食堂に着き、中に入った。