第209話 彼女は除名された!

「皆様、こんにちは。私は園田円香と申します。放送部の新人アナウンサーです。」

全員の視線が一斉に彼女に注がれた。壇上に立つ彼女は、落ち着いた態度で、毅然とした眼差しを向け、唇の端には淡い笑みを浮かべ、独特なオーラを放っていた。

まるで失態を謝罪するために壇上に立っているというよりも、スピーチをするかのような様子だった。

田中部長は彼女のその態度がますます気に入らなかった。そもそも、内情を知らない彼は、園田円香が坂本波監督を踏み台にして出世したことしか知らず、彼女が手段を選ばない冷酷な人間で、警戒せざるを得ないと思っていた。

重要なのは、彼女が局長の推薦で入社し、さらに江川夫人という身分を持っていることだった。もし彼女が出世しようとすれば、最初に追い出されるのは自分の地位ではないかと。

今回の告発に関しては、実際には些細な問題で、見て見ぬふりをすれば済むことだった。結局のところ、アナウンサーそれぞれに仕事のスタイルがあり、さくらテレビは多様な発展を支持しており、違法でない限り、結果が良ければ記者やアナウンサーの仕事に過度に干渉することはなかった。

彼は本来、この件を利用して園田円香を牽制し、放送部は自分の領域だということを理解させ、ここでうまくやっていきたいなら大人しくしろ、余計なことは考えるなと伝えたかったのだ。

しかし彼女は分別がなく、敢えて彼と対立しようとした。それなら自業自得を味わうしかない。

これだけの幹部の前で謝罪させれば、彼女の印象点は大きく下がる。その後、何かの口実を見つけて彼女を解雇すれば、もう誰も彼女を守ることはできず、この目の上のたんこぶを完全に取り除くことができる。

田中部長はそう考えながら、園田円香を見る目がますます冷たくなっていった。

お金持ちの奥様なら、家に帰って夫の機嫌を取り、夫の世話をすればいい。職場は彼女のような人間が遊べる場所ではない。

園田円香は田中部長の視線に気付き、横目で彼を一瞥した後、さらに大きく口角を上げた。

こんな時にまだ笑えるのか?

田中部長は思わず、心の中に不吉な予感が生まれた。

園田円香は再び皆の方を向き、はっきりとした口調で言った。「皆様、私が謝罪する前に、一つのニュースをご覧いただきたいと思います。そして、私がこの謝罪をする必要があるかどうかを判断していただきたいと思います!」