第210章 絶対に私のものよ！

彼は大会で彼女に対して無力だったが、ここは自分の縄張りだ。たかが園田円香ごときを押さえつけられないはずがない？

今日、園田円香は公開反省を逃れたかもしれないが、これからは彼の下で、いいことなど一つもないだろう！

そう言うと、彼は傲慢に背を向け、大股で自分のオフィスへと向かい、ドアをバタンと閉めた。

他の二人のキャスターは、園田円香を見て内心喜んでいた。競争相手が一人減れば、自分の勝算が増えるのだから。しかも、園田円香のような強力なライバルが消えるのだから、喜ばないはずがない。

彼らは次々と立ち上がり、会議室へと向かった。

安藤吉実も立ち上がったが、会議室には向かわず、園田円香の前まで歩み寄った。彼女に向かって、遠慮のない笑みを浮かべた。

彼女は園田円香に少し近づき、声を潜めて耳元で囁いた。「園田さん、局長がどんなに庇ってくれても、今回の公開反省を免れたところで何になるの？このプロジェクトはもう諦めなさい。後藤先生の弟子になることも、完全に諦めなさい」

園田円香はまぶたを少し持ち上げ、怒るどころか笑みを浮かべた。「頑張ってね。あなたがこのニュースのインタビューを取れたら、お祝いの花かごを贈るわ」

安藤吉実は彼女の皮肉な口調を聞き逃すはずもなかったが、怒る様子もなかった。今回は必ず成功すると確信していたからだ。「園田さん、ネタバレになるけど教えてあげる。あなたが今回公開反省を免れたのは、私のおかげなのよ。だから、花かごの準備はしておいてね。私、受け取る価値はあるわ！」

「いいわ、楽しみにしてるわ」園田円香は相変わらず笑みを浮かべたまま。

安藤吉実は彼女が強がっているだけだと思った。長い髪をさらりと払い、ヒールを鳴らしながら会議室へと向かった。

園田円香は自分の席に戻って座った。

突然、熱いコーヒーが彼女の机に置かれた。

園田円香は眉を少し上げ、秘書の野村丸美だと分かった。彼女は優しく微笑みながら話しかけてきた。「園田キャスター、コーヒーを入れました。お好みの無糖多めのミルクで」

明らかに慰めの気持ちが込められていた。

園田円香は少し意外に思った。このフロアでは田中部長が最も権力を持っており、彼が公然と標的にする人物には誰も近づかず、巻き添えを恐れて遠ざかるのが普通だった。

野村丸美が最初に好意を示してくれるとは思わなかった。