第223章 泣いていいよ

彼女のその一言の詰問で、さらに多くの野次馬が集まってきた。結局のところ、貧富の対立を煽るのは、大衆の感情を容易に引き起こすものだった。

皆が江口侑樹と園田円香を不満げな目で見つめているのを見て、高橋琳は少し自信を取り戻した。

彼女も江口侑樹を恐れていたが、これだけ多くの人がいる場所では、彼も人々の目の前で彼女に何かをすることはできないだろう。

とにかく今日は、園田円香をこのまま簡単に逃がすわけにはいかない。

そうでなければ、今も病床で苦しみ、鬱状態にある菜々に申し訳が立たない。

一般人の命も、命なのだ。

江口侑樹の黒い瞳が高橋琳と向き合った。その瞳は深く、底知れず、極めて強い圧迫感を帯びていた。

高橋琳は彼と数秒目を合わせただけで、制御できずに視線を逸らした。

男は唇を開き、冷たい声で言った。「私の妻に過ちがあったかどうかは、真実が決めることだ。あなたでもない、ここにいる皆さんでもない、さらにネット上の工作員やキーボードウォリアーでもない！」

「あなた方が友人のために正義を求めようとする初心は正しい。しかし、最初にすべきことは真実を明らかにすることであって、盲目的に人の言うがままに動くことではない。それは愚かというものだ。」

「私の妻、いや、園田円香配信者が行ったすべてのことは、天地に恥じない行いだと私は信じている！そして彼女は必ず、真実を大衆に示すはずだ！」

「もしそうでなければ、私がすべての結果と罰を引き受けよう！」

力強い言葉に、その場にいた全員が言葉を失った。

しかも、彼は自分自身を賭けて誓った。もし園田円香が本当に大衆を欺き、天地に恥じる行為をしていたのなら、すべての結果と罰を彼が引き受けると。

社会的地位、影響力、あらゆる面で、江口侑樹は園田円香よりもはるかに上だった。それにもかかわらず、彼は公の場でこのような発言をした。これは彼が園田円香を揺るぎなく信頼していることの証だった。

このような信頼は、非常に人々の心を動かすものだった。

結局のところ、江口侑樹が代表するのは彼個人だけでなく、巨大な江川グループと江川家をも含んでいた。

これは全てを賭けて、彼女の保証をしているようなものだった。

高橋琳はどれほど反論や揚げ足取りをしたくても、唇を動かしても言葉が見つからなかった。