第229章 冷酷無情

園田円香は躊躇なく車を発進させ、彼らの車の後を追った。

気付かれないように、適度な距離を保ち、適切にレーンを変更した。深夜だったため、道路にはほとんど車がなく、自然な追跡を心がけた。

幸い前の車は気付かなかった。園田円香はそのまま車を追って高速道路に乗り、そのまま臨海市方面へと向かった。

園田円香は少し驚いた。まさか臨海市へ……

しかし同時に、彼女の心には確信が芽生えた。田中お父さんと田中お母さんは、おそらくあの時の女性に会いに行くのだろう。

気を抜かずに、彼らの車を見失わないよう、ゆっくりと追跡を続けた。

およそ2時間以上走った後、車は臨海市の郊外に入り、最後に大きな人気のない場所で停車した。

園田円香は眉をひそめた。ここはどこだろう?

疑問を抱きながらも、円香は車を木の陰に停め、降車して、静かに彼らの後を追った。

田中お父さん、田中お母さん、そしてボディガード兼運転手らしい屈強な男が、前方の小道を歩いていた。周りは暗かったが、彼らは慣れた様子で歩いており、明らかに初めてではないようだった。

園田円香は懐中電灯を使うことができず、彼らの姿を必死に確認しながら、こっそりと後をついて行った。

約10分歩いた後、ついに大きな建物の前に到着し、彼らは中に入っていった。

園田円香は30秒ほど遅れて近づき、上方の看板を見上げた。そこには「XX療養院」と書かれていた。

療養院??

もし田中お父さんと田中お母さんが本当にあの女性に会いに来たのなら、その女性が療養院に入院しているということは、体調が悪いのだろうか?

だからこの数年間、彼女は姿を消していたのは、療養のためだったのか?

そして田中朝一は、女性の体調が悪いことを知っていたからこそ、すべての責任を引き受け、彼女の平穏な生活を乱さないようにしたのだろうか?

とにかく、すべての答えがすぐに分かるはずだ。

園田円香は軽く息を吸い込み、そして足を踏み出して、中に入っていった。

深夜だったため、療養院の受付には当直の看護師が一人だけいた。園田円香は、田中お父さんと田中お母さんが看護師の前に立つだけで、看護師が彼らを認識し、すぐに鍵を渡すのを見た。

田中お父さんと田中お母さんは鍵を受け取り、慣れた様子で中へ進んでいった。