田中お父さんと田中お母さんは田中朝一が彼らを守るのを見て、すぐに喜色満面となり、田中お父さんは思わず嬉しそうに言った。「息子よ、お前が私たちの苦心を理解してくれると分かっていたよ。」
彼らのすることは全て、家族を守るためであり、息子により良い未来を与えるためだった。
そして田中朝一は、彼らが心を尽くして育てた良い息子らしく、彼らを思いやり理解してくれた!
田中朝一が進んで真相を明かそうとしない限り、園田円香が先ほどの状況を録音していたとしても、それは単なる物的証拠に過ぎず、強力な人証がなければ、彼らを倒すのはそう簡単ではない!
田中朝一は何も言わず、一歩一歩近づいてきて、園田円香の前に立ち、彼女を見つめながら繰り返した。「私の両親を解放してください。」
傍らの葉山汐里は彼を見つめ、か細い声で呼びかけた。「教授...」
彼女が監禁されてから、もう随分と会っていなかった。もう二度と会えないと思っていた。
しかし田中朝一は彼女の声が聞こえなかったかのように、彼女に目を向けることすらせず、完全に無視して、ただ園田円香をじっと見つめていた。
園田円香は思わず葉山汐里の方を見た。葉山汐里も予想していなかったようだった。命がけで逃げ出し、やっと愛する人に会えたのに、こんな状況になるとは。
しかも、田中朝一は両親が彼女にしたことを知った後でも、彼女を空気のように扱っていた。
だから...あの時、彼は彼女をそれほど愛していなかったのか、それとも時間とともに彼の愛は消え去ってしまったのか、あるいは、彼女と両親の間で、彼は両親を選んだのか。
期待に胸を膨らませて会いに来たのに、すべてが変わってしまっていた。これ以上辛いことがあるだろうか。
葉山汐里は元々顔色が悪かったが、今はさらに青ざめていた。彼女の体は止めどなく揺れ、立っていられずに倒れそうになった。
その様子を見て、園田円香は反射的に手を伸ばして彼女を支えた。「葉山さん、大丈夫ですか?」
葉山汐里は悲しげに園田円香を見つめ、唇を震わせたが、一言も発することができなかった。
田中朝一はしゃがみ込んで、床に横たわっている田中お父さんを起こし、立ち上がるのを手伝った後、さらに服装と髪を整えてやった。