園田円香は体を支えて起き上がり、上着を羽織って部屋を出て、階下へ降りていった。
リビングは散らかり放題だった。
江川おばあさんはソファの傍に立ち、明らかに激怒していた。顔は真っ赤で、呼吸は荒く、上気していた。
田中は怒り狂う江川おばあさんを支えながら、目の前の女性を怒りの目で睨みつけていた。
その女性は俯いて立ち尽くし、悲しげで困惑した表情を浮かべ、目は真っ赤に腫れ、とても哀れな様子だった。
床には様々な果物や漢方薬、栄養剤などが散乱し、江川おばあさんの愛用の杖も転がっていた。
先ほどの大きな音は、きっとその杖が床に落ちた音に違いなかった。
園田円香の視線がその女性の顔に注がれ、瞳に怒りの色が浮かんだ。
まさか安藤吉実がここまで直接来るとは思わなかった!
どうしたの?今まで来なかったのに、今になって来る勇気が出たのは、侑樹が彼女に勇気を与えたのかしら?
目の前の状況は、一見すると江川おばあさんが安藤吉実を虐げているように見えたが、園田円香は尋ねるまでもなく、きっと安藤吉実が何か意図的なことを言って、おばあさんをこれほど怒らせたのだと分かっていた。
おばあさんがやっと寺で心を落ち着かせて帰ってきたというのに、彼女は踏み込んできて人を怒らせる。これが故意でないはずがない。
園田円香は拳を強く握りしめた。
次の瞬間、彼女は数歩で前に出て、直接安藤吉実の襟首を掴んだ。
安藤吉実は驚き、慌てて弁解した。「円香、何をするの?私は、ただおばあさんに会いに来ただけよ。」
園田円香は無駄話をする気も起きず、一言も言わずに彼女を引っ張って外へ向かった。
「円香、やり過ぎよ!」彼女は園田円香の力に抗えず、怒鳴るしかなかった。
「やり過ぎ?」
園田円香は冷ややかに笑い、冷たい目で彼女を見据えた。「私がやり過ぎるとどうなるか、味わってみたい?」
その言葉に、安藤吉実はさくらテレビの裏路地での出来事を思い出し、両腕がまた痛みを感じた。彼女は不本意ながら口を閉ざした。
園田円香は安藤吉実を別荘の外に押し出した。
安藤吉実はもう無理に押し入ろうとはしなかった。園田円香には敵わないことを分かっていたからだ。しかし、突然冷笑して、園田円香を見つめながら一字一句はっきりと言った。「園田円香、おばあさんが私のことをそんなに気にかけている理由を知っているの?」